2021 Fiscal Year Research-status Report
ミュオン誘起ソフトエラー評価に向けた低速宇宙線ミュオン識別エネルギー測定系の開発
Project/Area Number |
21K14564
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川瀬 頌一郎 九州大学, 総合理工学研究院, 助教 (10817133)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 宇宙線ミュオン / チェレンコフ検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙線ミュオンに起因する半導体デバイスでのソフトエラー率の高精度評価のためには、計算機が実際に設置される環境における低速宇宙線ミュオンの流束の実測データが必要である。 本研究では、低エネルギー宇宙線ミュオンの流束測定において主なバックグラウンドとなる宇宙線電子由来のイベントを宇宙線ミュオン由来のイベントと弁別し、さらにその発光量から宇宙線ミュオンの運動エネルギーを測定するチェレンコフ検出器の開発を主目的としている。 本年度は同じ磁気剛性を持つ宇宙線電子と宇宙線ミュオンとをその速度の違いを利用して弁別するためのチェレンコフ検出器の設計および製作を行った。検出器設計にあたっては放射線測定に関わる実験研究者との議論を行った。改めて輻射体の材質の検討を行った結果、当初の計画通り、固体であるため取り扱いが容易で、かつ安価な紫外透過アクリルを輻射体として用いることとした。宇宙線ミュオン・宇宙線電子により発生するチェレンコフ光の収集効率を最大化するため、検出器中の輻射体の下面に直接光電子増倍管を取り付ける設計にした。また、今回の研究では既存の宇宙線ミュオン測定系の全アクセプタンスをカバーする検出器を開発することはせず、プロトタイプ検出器として既存測定系のアクセプタンス中央部分で確実に電子・ミュオン弁別を実証する方針とした。本年度の予算はチェレンコフ検出器の製作およびデータ取得回路やケーブル類の調達に使用した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究遂行上必要と考えられる検出器、物品の製作が完了したという点では順調に進んでいる。しかし、当初計画ではデータ取得系の開発も完了する予定であったが、現時点では既存のミュオン測定系と同期したデータ取得系の開発が完了しておらず、この点でやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
低速ミュオン流速測定装置と同期してデータ取得するためのデータ取得系の開発を行い、宇宙線ミュオンと宇宙線電子イベントの弁別性能の評価を行う。これをもとに低速ミュオン流束測定を行い、その結果を既存の実測データや宇宙線スペクトル計算モデルの結果と比較し、議論を行う。
|
Causes of Carryover |
出張が制限されていたため旅費として計上した予算を全く使用しなかった。次年度使用額は旅費に加え、データ取得系の開発で必要となる物品の調達に使用する予定である。
|