2022 Fiscal Year Research-status Report
新規腎機能評価方法論による小児移植患者のバルガンシクロビル適正投与設計の構築
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21K15296
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
勝部 友理恵 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (10827223)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | サイトメガロウィルス感染症 / 腎機能障害 / バルガンシクロビル / ガンシクロビル |
Outline of Annual Research Achievements |
サイトメガロウィルス(CMV)治療薬であるバルガンシクロビルは、優れた抗CMV効果をもたらしているものの、小児患者における有効性および安全性に関してエビデンスは限定的である。申請者は一部の患児においてバルガンシクロビル投与後の急性腎機能障害による減量あるいは休薬を経験した。バルガンシクロビルは生体内で活性代謝物に変換された後、尿中に排泄される薬物であるため、腎機能に応じた用量調節が必要である。小児では成長に伴う筋肉量の値が年齢および性別によって異なることから、成人と比較してバルガンシクロビルの薬物投与設計を複雑化させている。そこで本研究では「副作用による減量および休薬の回避」、「バルガンシクロビル投与による薬剤性腎障害の早期発見」を科学的知見に基づき実現することを目標とする。 令和4年度では、前年度に引き続き、バルガンシクロビル投与後の有害事象発現状況の調査ならびに発症頻度に及ぼす患者背景因子(併用薬や飲水量などの水分負荷量他)の影響について後方視的に調査し、成人及び小児での比較評価を実施し、現在解析途中である。また、消化管から吸収されたバルガンシクロビルの大部分が活性代謝物であるガンシクロビルに代謝され、強力な抗CMV活性を発揮するが、消化管における吸収を担う薬物トランスポータはペプチドトランスポータであるPEPT1およびPEPT2が同定されているのみである。 そこで、吸収過程に大きな個人差を認める症例に対して、次世代シークエンサーを用いた遺伝子解析を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請者の異動により, 研究対象である患者集団におけるバルガンシクロビルの症例数が当初予定していた症例数より大きく減少したことで研究計画の一部変更を余儀なくされた。バルガンシクロビルによるCMV感染症治療の最適化を命題として掲げていることには変わらず, 引き続き, 小児および成人を含めた解析・比較を実施することで, 当初の目的であるバルガンシクロビルによる抗CMV感染症治療の最適化を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画より対象患者の要件及び対象疾患を拡大して検討を実施する。移植臓器によって, バルガンシクロビルの使用方法が異なることから, 対象疾患ごとの解析とする。本年度では, 前年度に引き続き後方視的調査を行い、症例を集積する。また, 前年度実施した次世代シークエンサーによる網羅的遺伝子解析を本年度中に完了させ, バルガンシクロビルの薬物動態に関わる責任分子の特定を目指す。さらに, これらの責任分子がバルガンシクロビルの薬物動態及び発育過程における成熟度に差があるのか解析を行う。
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Causes of Carryover |
研究計画の一部変更および異動先での新体制の整備に時間を要したため。
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