2021 Fiscal Year Research-status Report
胎盤-脳連関に立脚した胎盤エクソソームの血液脳関門透過機構と脳細胞送達性の解明
Project/Area Number |
21K15314
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
稲垣 舞 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 助教 (90878274)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 胎盤 / 血液脳関門 / 臓器連関 |
Outline of Annual Research Achievements |
エクソソーム(細胞外小胞)は、内包する核酸やタンパク質などの高分子を標的細胞に輸送する特徴を有することから、標的細胞へ高分子薬物を送達させるためのキャリアーとして注目されている。脳への高効率な高分子輸送システムを開発するためには、脳内送達において障壁となる血液脳関門(Blood-Brain Barrier, BBB)の透過技術の基盤開発が重要である。そこで本研究は、胎盤から分泌されるエクソソームに着目し、ヒトBBBにおける胎盤由来エクソソームの輸送特性を明らかにすることを目的とした。ヒト胎盤栄養膜モデル細胞の培養上清から、超遠心分離法で単離したエクソソームをPKH67で蛍光標識し、ヒトBBB in vitroモデル細胞への取り込み活性及び温度依存性を解析した。PKH標識エクソソームの細胞内取り込みは、37℃と比較して、4℃において有意に低下することが示された。さらに、非標識エクソソーム共存下において有意に低下することが示されたことから、ヒトBBBモデル細胞内へのエネルギー依存的な胎盤由来エクソソーム取り込み機構が関与することが示唆された。ヒトBBBモデル細胞へのエクソソーム取り込みは、α-マクログロブリン共存下では阻害されなかった一方で、ヘパリン共存下で、有意に阻害されたことから、ヒト胎盤栄養膜由来エクソソームの、ヒトBBBモデル細胞細胞への輸送機構には、少なくとも一部に細胞膜表面に発現するヘパラン硫酸プロテオグリカンが関与することが示された。さらに、エンドサイトーシス阻害剤共存下における取り込み解析から、ヒト胎盤栄養膜由来エクソソームのヒトBBBモデル細胞への取り込みには、一部カベオリン介在性エンドサイトーシス機構が関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の通り、ヒト胎盤栄養膜細胞から単離したエクソソームの、ヒトBBBにおける取り込み活性を解析し、阻害剤を用いた取り込み機構の絞り込みを行った。以上から、ヒト胎盤栄養膜由来エクソソームのヒトBBBにおける高分子輸送の仕組みを理解する上で基盤的な成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
In vivoにおける胎盤由来エクソソームの脳内分布を評価するために、細胞生物学の専門家からの助言を仰ぐことによって、イメージング装置を用いたエクソソームの脳内分布を定量解析する。さらに、Dual Split assayを基にしたスクリーニング系を構築し、ヒトBBBにおける胎盤由来エクソソーム取込み機構の同定を目指す。
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Causes of Carryover |
3月に納品となり、支払いが完了していないため。 4月に支払いが完了する予定である。
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Research Products
(3 results)