2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of interaction mechanism between sulfur-metabolizing bacteria and anti-tumor immunity within colorectal tumor microenvironment
Project/Area Number |
21K15582
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
藤吉 健司 久留米大学, 医学部, 助教 (70762798)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 大腸癌 / 腸内細菌叢 / 癌微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の3年目(令和5度)は、大腸癌組織中の硫黄代謝細菌群(SMB)の定量化を試み、2種のプライマー設計を行った。しかし、実際にPCRが可能となったのは1種(Nプライマー)のみであった。そして、定量化を試みたが、定量化PCRの増幅効率が悪く、定性による大腸癌組織内のSMB存在の有無を評価した。大腸癌原発巣切除を施行した64例の腫瘍部と正常粘膜部の各組織から抽出したDNAを用いた。SMB陽性群は、正常部と比較し腫瘍部に多かった(腫瘍部で37例[58%] vs 正常粘膜部で15例[23%]、 P<0.01)。腫瘍部におけるSMB陽性群 vs 陰性群で年齢・性別・腫瘍部位・進行度・腫瘍マーカーに有意差は認めなかった。KRAS変異型がSMB陽性群において多かった(陽性群7例[35%] vs 陰性群2例[7%]、 P=0.01)が、BRAF遺伝子変異・腫瘍免疫リンパ球(CD3/CD8陽性リンパ球)浸潤に有意差は認めなかった。本検討で糞便でなく組織を用いてSMBと大腸癌の関連を検討した。 SMBは腫瘍部に多く存在し、SMBの存在と大腸癌は関連している可能性が示唆された。SMB陽性群はKRAS変異型と関連しており、SMBの腫瘍促進性炎症経路とKRASを介した腫瘍増殖経路が関連している可能性が示唆された。SMBが存在する大腸癌はKRAS経路と関連する可能性があることが明らかとなった。今後は大腸癌の微小環境におけるSMBと腫瘍増殖メカニズムの解明に向けた腫瘍由来RNAを用いた発現量解析を予定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大腸癌組織におけるSMBの定量化をPCR法から次世代シークエンサーを用いて16S解析を用いた定量化を検討している。正常組織・腫瘍組織のペアのDNAを用いた16S解析を実施中であり、本年は当データの解析を予定している。そして、16S解析を用いてそれぞれの細菌叢からSMBの割合を定量化が可能となる。さらに、腫瘍RNAも用いて発現量解析を予定し、KRAS経路などのPathwayとSMBの割合の関連を検討する。加えて、腫瘍免疫の評価として、組織中の腫瘍浸潤リンパ球の定量化も先立って開始しているため、腫瘍免疫との関連も評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、大腸癌64例の正常組織・腫瘍組織のペアのDNAを用いた16S解析を実施中であり、来年度は当データの解析を予定している。そして、16S解析を用いてそれぞれの細菌叢からSMBの割合を定量化が可能となる。さらに、SMBの有無と16S解析をよるSMBの割合から、64例のサンプルのうちSMBが豊富に存在する腫瘍vsSMBが存在しない腫瘍に層別化することができる。それぞれの腫瘍RNAを用いて、次世代シークエンサーによるwhole-exome解析を実施する。当実験をすることで、SMBが豊富な腫瘍における腫瘍の増殖・進展にかかわるような発現量解析(Pathway)を明らかにすることができる。さらに、腫瘍免疫の評価として、組織中の腫瘍浸潤リンパ球の定量化も先立って開始しているため、腫瘍免疫との関連も評価する。
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Causes of Carryover |
研究計画時に予定していた次世代シークエンサーを用いたSMBの定量化を実施しているが、さらなら検体追加も予定している。さらに、腫瘍RNAを用いた次世代シークエンサーによるwhole-exome解析を実施する。そして、腫瘍免疫の評価として、組織中の腫瘍浸潤リンパ球の定量化も先立って開始しているため、腫瘍免疫との関連も評価する。当実験まで実施すれば、本研究計画の大部分のデータは集積し、データ解析・臨床データとの統合解析を実施する予定である。研究計画の延長を申請したが、延長期間内で研究計画を完遂できると考えている。
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