2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of neurodegenerative disease in T-type Ca channelopathies
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21K15630
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
橋口 俊太 横浜市立大学, 医学部, 助教 (30884043)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脊髄小脳変性症 / プルキンエ細胞 / 小脳深部核 / T型カルシウムチャネル / RNAシークエンス / プロテオーム解析 / パッチクランプ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究対象としてきた脊髄小脳失調症(SCA)家系においてVGCCの一種であるCav3.1をコードするCACNA1G点変異R1715Hを同定し(SCA42)、この変異をゲノム編集により導入したノックインマウス(Cacna1g_R1723H_KIマウス)を世界に先駆けて作成し、これまでにモデルマウスにおいて、CACNA1G点変異自体が失調症状、プルキンエ細胞変性を引き起こすことを証明した。 本研究ではCacna1g_R1723H_KIマウスを分子生物学的、病理学的および電気生理学的手法を駆使し多面的に解析することで、さらにカルシウムチャネル異常による神経変性の病態を解明し、病態に基づく根本治療開発へ繋げることを目的としている。 当該年度では、病理学的解析として、プルキンエ細胞の樹状突起のスパイン数に着目し、定量化を試みた。さらに、光遺伝学手法を用いた同モデルマウスの作成も同時に行っており、マウス個体から作成した脳スライス切片を観察し、より詳細な形態的評価を行う計画である。遺伝子発現解析については、各遺伝子型の50週齢マウス個体から小脳組織を抽出、RNAを精製し、RNAシークエンスを実施してマスデータを取得した。現在はパスウェイ解析および発現変動を認めた分子に着目したRNAレベル、蛋白レベルでの定量化を試みている。電気生理学解析については、小脳サーキットの中でCav3.1を発現している細胞において、これまで解析していなかった小脳深部核における電気生理学的解析を行い、変異個体では自発発火頻度が減少する結果を得た。また治療薬候補薬剤のT型カルシウムチャネルへの効果を調べるために、培養細胞にチャネル変異を形質転換させた実験系において電気生理学評価を実施しており、現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
病理学的解析については、スパインの解析については、概ね順調に進展しているが、免疫染色による評価および、着目したCaMKⅡ分子の挙動についての解析は、遺伝子発現レベルおよび蛋白レベルでの評価ができていない。 当初予定していたレーザーマイクロダイセクションによるプルキンエ細胞を選別した細胞レベルでのプロテオーム解析については、現在実施できておらず、RNA抽出による網羅的なシークエンス解析を優先して実施している。 電気生理学実験については、小脳核の評価を終えて、現在は培養細胞にチャネル変異を形質転換させた実験系での解析へ移行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の展開としては以下の3点に大別される。 ①病理学的評価については、脱落を認めたプルキンエ細胞において神経変性機序を明らかにするため、アポトーシスの関与(TUNEL染色)、チロシン水酸化酵素の染色性、神経保護因子(BDNF抗体)を用いた免疫染色を追加で実施する。また、樹状突起のスパイン解析に加えて、細胞体の面積、体積の評価、光遺伝学を用いて作成したモデルマウスにおける脳スライスの形態的な観察を予定している。 ②遺伝子発現解析については、RNAシークエンスで得られたデータを解析し、変化するパスウェイや着目した分子について、実際の小脳組織においてqPCRやWBによる定量的評価を試みる。 ③電気生理学解析については、培養細胞を用いてT型カルシウムチャネル変異を形質転換し、治療薬候補となる薬剤を添加し、前後でのチャネル特性の変化の検出を試みる。
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Causes of Carryover |
当該年度では、国内および国際学会への参加が見送られたため次年度使用額が生じた。次年度以降では、コロナ感染が落ち着いている状況を鑑み、学会活動への使用資金とする計画である。
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