2021 Fiscal Year Research-status Report
自閉スペクトラム症社会認知機能改善プログラムの有効性への内在性オキシトシンの関与
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21K15714
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
梅原 英裕 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 講師 (90645798)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 社会認知機能 / オキシトシン / 集団精神療法 / 自閉スペクトラム症 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、本人の認知や思考の偏りそのものへの介入方法として、統合失調症や双極性障害患者の社会的認知機能障害の改善に効果的であることが示されているプログラム(Robertsら 2014, Zhangら 2019)から着想を得て、児童青年期の発達障害の特性に合わせたものを作成し、参加者に実施した。プログラム開始前とプログラム全課程実施後に、表情認知、心の理論、結論への飛躍、主観的QOL、養育者評価による社会認知機能およびQOLを測定した。当該年度以前のデータと合わせて解析した結果、心の理論と結論への飛躍、主観的QOLがプログラム実施前後で有意に改善していることを示した。また、当該年度より取得測定開始した唾液中のオキシトシンの評価は、新型コロナウイルス流行に伴い、プログラムの中断、休止を頻回に診療科長より指示されたころから、参加者の確保と参加継続、サンプル収集が十分に行えないままであった。本研究で実施した社会認知プログラムによって、自閉スペクトラム症における社会認知機能の改善だけでなく、主観的QOLの改善を認めていることは、本プログラムが対象としている社会認知機能が自閉スペクトラム症のQOLにおいて重要な役割を果たしていることを示している。また、研究の進捗の遅れからまだデータが得られていないが、内因性オキシトシンが社会認知機能やQOLの改善度と関連しているかどうか評価できれば社会認知機能やQOLに影響を与える生物学的背景を明らかにすることができると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
大学病院での実施のため、新型コロナウイルス感染状況における集団プログラム実施への制限が厳しく、プログラムの中断や中止が何度もあった。また、参加者もコロナの流行を理由に参加を中止する者がみられたり、測定に必要な高用量の唾液取得が困難なケースもみられた。 以上の理由により研究の進捗は大幅に遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
R3年度に少量の唾液で測定可能な測定キットが発売された。オキシトシン測定キットを変更することで、唾液取得が少量で済むようになり、より多くの参加者から測定可能な量の唾液取得が可能になると考えられる。 介入プログラムの内容を修正し、プログラムの完結するまでの期間を短縮することで、流行の合間にプログラムの完結と唾液の取得が完了する様にする。
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Causes of Carryover |
大学病院での実施のため、新型コロナウイルス感染状況における集団プログラム実施への制限が厳しく、プログラムの中断や中止が何度もあった。また、参加者もコロナの流行を理由に参加を中止する者がみられたり、測定に必要な高用量の唾液取得が困難なケースもみられた。以上の理由により研究の進捗は大幅に遅れている。 次年度には、研究計画の見直しにより、参加者の増加と唾液収集および測定の効率をあげる計画である。 研究進捗の遅れにより予定していた唾液の収集、オキシトシン測定のほとんどを次年度に実施する予定となったため、次年度使用額が生じた。 オキシトシン測定キットなどの物品費や参加者への謝礼の次年度研究費にあてる。
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Research Products
(1 results)