2022 Fiscal Year Research-status Report
ULP型大動脈解離における血行力学的予後因子の解明
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21K15762
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
城野 悠志 山梨大学, 医学部放射線医学講座, 臨床助教 (80803973)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 血流解析 / 4D-flow MRI / 4D CT / 大動脈解離 / 大動脈瘤 / 流体ファントム |
Outline of Annual Research Achievements |
大動脈解離/大動脈瘤(解離性を含む)の症例を引き続き蓄積しており、これまでの4D-flow MRIおよび流体シミュレーションに加え、4D CTによる血流解析も行っている。 昨年度に問題視された4D-flow MRIでの流量計測エラーは依然として観測され、複雑な流れが生じる状況下(特に血管内腔が広狭不整となる部分)において顕著であった。この現象については引き続き、流体ファントム(直管モデルと大動脈瘤モデル)と脈流ポンプを用いて検証を進めている。具体的にはファントム内で定常流および非定常流(心拍出モデル)を再現し、流量計での測定値と4D-flow MRIでの解析結果との一致性を検証した。その結果、特に大動脈瘤モデルにおいて4D-flow MRIの計測エラーが実証され、撮像パラメータ(velocity encoding, VENC)に依存してその程度が大きく変化した。従来のパラメータ調整(VENCを含む)ではこの問題を完全に解消することができず、造影剤を用いてシグナル対ノイズ比(SNR)を向上させても同様の結果であった。計測エラーは流体の辺縁優位に生じるため、評価範囲から辺縁を除いたところ、誤差が軽減した。以上の結果をまとめ、共同研究者とともに国内学会で報告し、現在は論文執筆中である。 以上の基礎検証と並行して、大動脈疾患(ULP型解離を含む)の臨床経過と血流解析結果(4D-flow MRIや流体シミュレーション、4D CT、血管造影)とを対比することで、血行力学的な予後因子の探索を行っている。その結果、大動脈壁に作用するずり応力(wall shear stress, WSS)が予後因子の候補である可能性が見いだされ、さらなる症例蓄積により検証を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
流体ファントムを用いた4D-flow MRIの基礎検証が順調に進んでおり、計測エラーをやや軽減できる方法を特定できた。並行して、大動脈疾患の症例を蓄積して血流解析(4D-flow MRIや流体シミュレーション、4D CT)を行い、血行力学的な予後因子の探索/検証を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
4D-flow MRIによる計測エラーについては検証結果をまとめ、論文報告することを目指す。 今後は大血管疾患の症例をさらに蓄積し、血流解析(4D-flow MRIや流体シミュレーション、4D CT)を行っていく。そして各症例の予後と血流解析結果とを対比することで、血行力学的な予後因子を探索する。
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