2022 Fiscal Year Research-status Report
レジスタントスターチによる腸内環境の改善と脂肪肝抑制効果の検討
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21K15950
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
畑澤 友里 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (10898745)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脂肪肝 / レジスタントスターチ / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題ではレジスタントスターチを含む高脂肪食を用い、脂肪肝が改善する機序を、腸内細菌叢の変化、短鎖脂肪酸およびその受容体GPR43の役割と宿主の代謝 などの学術的側面から解明し、将来的な脂肪肝の発生および脂肪性肝疾患の進行抑止につながる知見を得ることを目的としている。令和4度までの成果によりC57BL/6J雄マウスに対する、レジスタントスターチを含む高脂肪食を投与した群(HFD+RS群)では、高脂肪食を投与した群(HFD群)に比べて有意に体重増多の抑制効果と肝組織における脂肪肝の抑制効果が認められていた。今年度は肝組織を用いた機序の解明に向けて、免疫組織学的検討および定量PCRによる検討を行っている。炎症性サイトカインについてはHFD+RS群およびHFD群ともに有意差はなく、脂肪蓄積に関する遺伝子ACC, FAS, SREBP1についても有意差がないものの、PPARγについてはHFD+RS群においてHFD群よりも低い傾向を見出した。また小腸大腸粘膜におけるFACSによる解析では、HFD群ではcontrol群に比べてマクロファージの有意な増加を認め、HFD+RS群ではマクロファージの増加が抑制されていたが、その他T細胞およびB細胞系についての有意な変化は認められなかった。 次いで腸内細菌叢の効果を抑制するために、バンコマイシン単剤、ネオマイシン単剤およびアンピシリンとメトロニダゾールを加えた4剤を用いた抗生剤による脂肪肝抑止効果の消失がみられるかについても検討したが、抗生剤投与下のマウスは、高脂肪食投与による体重増多そのものが抑制されてしまい、この検証については現在中途である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目にマウスの脂肪肝モデルが確立し、レジスタントスターチの投与も予定通り行うことができたため、2年目である令和4年度もその機序の解明に向けた当初の予定を進めている。抗生剤投与による検証は現在検討中であり、GPR43欠損マウスを用いた脂肪肝抑制効果については今年度以降検討していく予定である。2年目である令和4年度の予定は概ね進められていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である令和5年度については、レジスタントスターチによる脂肪肝抑制効果の機序解明を引き続き行っていく予定である。便中の短鎖脂肪酸(酪酸、酢酸、プロピオン酸)についてはガスクロマトグラフィーにより、腸内細菌叢の解析については16S rRNAシークエンス解析により、体重抑制および脂肪肝抑制に関わる特定の腸内細菌の検出をめざす。 また既に当研究室に搬入済みであるGPR43欠損マウスを用いてレジスタントスターチの脂肪肝抑制効果について検討していく。
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Causes of Carryover |
腸内細菌叢の解析については、既に外注で検体解析に入っているものの、解析結果に時間がかかるために、解析結果の返却と請求が次年度となりました。このため予定していた外注検査の請求と支払いが次年度となっています。 その他については概ね予定通りの使用となっています。
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