2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K16167
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
小野 水面 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (50831137)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | SGLT2阻害薬 / 腎性貧血 / ダパグリフロジン / 2型糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は単施設並行群間比較試験(RCT)でSGLT2阻害薬であるダパグリフロジンによる腎性貧血改善効果について検討することを目的としている。組み入れ基準は、(1)(2)を両方とも満たす患者 (1)糖尿病を合併するeGFR 15-59 ml/min/1.73 m2 の患者(2)WHOの貧血の診断基準(男性Hb 13g/dL未満、女性Hb 12g/dL未満)を満たし、かつEPO血中濃度が正常または低値の ESA・HIF-PH阻害薬非使用患者またはESAあるいはHIF-PH阻害薬使用患者である。介入は、ダパグリフロジンで、コントロールはSGLT2阻害薬以外の糖尿病薬(主治医の判断にゆだねる)である。1.研究A (ESAあるいはHIF-PH阻害薬使用患者対象)主要評価項目:ESAあるいはHIF-PH阻害薬投与量(ESAあるいはHIF-PH阻害薬投与量は開始時投与量を100%とし比較。ESAあるいはHIF-PH阻害薬は研究期間中種類を変えない。投与量・投与間隔は各薬剤の添付文書と日本透析医学会からの慢性腎臓病に伴う腎性貧血ガイドラインに準じて投与を行う。)2.研究B(ESA/HIF-PH阻害薬非使用患者対象) 主要評価項目:Hb<10g/dLまたはESA/HIF-PH阻害薬を投与するまでの期間としている。観察,測定項目はHb†,EPO濃度†,P†,Mg†,Cre†,血圧‡,体重‡,血糖値†,HbA1c もしくはGA†, CRP†,血清鉄濃度†,不飽和鉄濃度(UIBC)†,血清フェリチン濃度†,血中ヘプシジン濃度*,血中エリスロフェロン濃度*, SF-36#(測定頻度:†開始後1か月とその後月1回ごと。 *開始1, 2, 3か月後‡ 開始時より2週間は毎日(自宅にて測定)。1か月経過後は月1回ごと。# 開始時及び2年の観察期間終了時) 本年度より症例登録を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回のRCTを施行するにあたって、その妥当性とサンプルサイズ計算を行うため、まず後ろ向きコホート研究を行った。当院を受診した2000名あまりの糖尿病患者を対象とした後ろ向きコホートにおいて、交絡因子で補正を行っても、eGFR15 mL/min/1.73m2以上でSGLT2阻害薬を投与されている患者において、Hb濃度が高いことが示された。年齢、性別、eGFRをマッチングしたケースコントロール解析において、SGLT2阻害薬投与患者の貧血(男性でHb<12g/dL, 女性でHb<11g/dL, ESAの使用)の有病率のORは0.35 (0.21-0.58)であった。この結果は日本腎臓学会総会および、American Society of Nephrology, Kidney Weekで発表するとともに、論文として公表した(J Diabetes Investig 2021 doi:10.1111/jdi.13717)。
RCTについては、当初、トホグリフロジンを用いて研究を行う予定であったが、ダパグリフロジンが非糖尿病合併CKDにも適応が拡大されたため、対象薬をダパグリフロジンに変更し、開始した。当院のCRBの組織改編やコロナウイルス感染の蔓延のために当初の計画よりやや遅れているが、研究Aは6人(うち1人が脱落)、研究Bは9人が登録されている。開始1か月後以降のデータのある症例の結果をみると、いずれも、ダパグリフロジン群で貧血の改善がみられているのに対し、研究Bのコントロール群では経時的に貧血が進行している。また、研究Bではダパグリフロジン群で、EPO濃度の上昇がみられている。
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Strategy for Future Research Activity |
患者登録が遅れていることを踏まえ、ダパグロフロジンの適応が慢性腎不全患者に拡大されたことから、登録患者を糖尿病心不全を合併しない慢性腎不全患者を含むこととし、症例登録を進めていく。また、研究業務の円滑化のためクリニカルリサーチコーディネーターを雇用した。
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Causes of Carryover |
COVID流行状況にて患者数が減少し登録が進んでいない。そのため、ELISAキットの購入などをまだ行っていない。患者登録を推進するためクリニカルリサーチコーディネータを雇用し、人件費に充填する予定である。
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