2021 Fiscal Year Research-status Report
The effect of YAP/TAZ on impaired vasculature and immune abnormalities in scleroderma
Project/Area Number |
21K16290
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
遠山 哲夫 国際医療福祉大学, 国際医療福祉大学成田病院, 講師 (30757513)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | YAP / Th17 / tube formation / pericyte |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で、YAP/TAZからhippo pathwayの阻害作用のあるROCK阻害剤であるファスジルをブレオマイシン誘発強皮症モデルマウスに投与すると、Th1/Th2バランスがTh1にシフトし、またTh17/TregバランスがTregにシフトすることが in vitroで確認できた。これがファスジルの直接作用であるのか確認するために、野生型C57BL/6マウスの脾臓から採取したナイーブT細胞をTh1、Th2、Th17細胞に分化させる実験を行ったところ、ファスジルの投与でTh1,Th2への分化に対しては影響なかったが、Th17への分化を明らかに抑制することが明らかになった。YAP/TAZに対するsiRNAを用いたノックダウンにおいても同様の結果になった。このことから、YAP/TAZがTh17への分化において重要な役割を持っていることが示唆された。 全身性強皮症における血管障害は、転写因子Fli1の欠失により再現できるが、siRNAにより血管内皮細胞のFli1発現をノックダウンさせたところ、YAP/TAZの下流の転写因子TEADが結合するプロモーターアクティビティが上昇することをルシフェラーゼアッセイにより示され、Fli1がYAP/TAZと相互作用することが明らかになった。血管内皮細胞の脈管形成を調べるため、Tube formationを行ったところ、Fli1をノックダウンさせた場合、幼弱な脈管が多数形成されることが示されたが、YAP/TAZを阻害するファスジルを投与したところ、過剰な脈管形成が抑制された。血管内皮細胞とpericyteを共培養させたところ、ファスジルによりpericyteが被覆した脈管が長時間維持されることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新しい勤務地への異動に伴い、実験が一時中断しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
血管内皮細胞において、転写因子Fli1がYAP/TAZと相互作用を持っていることが明らかにしたが、その機序は未知である。Hippo pathwayに関わる因子の遺伝子発現を調節しているのか、YAP/TAZをはじめとするタンパクリン酸化を制御しているのか、もしくは直接接触してcomplexを形成するのか、他のmediatorを介しているのかをwestern blotting、免疫沈降法などを用いて、網羅的に解析する予定である。他のmediatorとしてはmyocardin関連転写因子A/B (MRTF A/B)の関与がユーイング肉腫において指摘されており、siRNAを用いたノックダウンによって、MRTF A/BがFli1とYAP/TAZの相互作用にどのように影響を及ぼしているのかを検討する。 また、Fli1の欠失によるフェノタイプが、YAP/TAZ/TEAD pathwayの過剰亢進のみで説明できるのかをS127A YAP plasmidを血管内皮細胞およびpericyteにtransfectionすることにより確認する。Tube formation、transwell assay、scratch assay、BrdUの測定を介して、血管新生能、遊走能、増殖能といった細胞の恒常性を評価する。さらに、RNA-seq、western blottingを介して、遺伝子発現、細胞内シグナリングの変化を解析する。 免疫系についてはregulatory T cell (Treg)の増殖、活性化にYAP/TAZがどのように影響を及ぼしているのかを追加で検証する。FACSによってFoxp3陽性CD4陽性T細胞の割合を測定するとともに、Tregの機能活性をエフェクターT細胞との共培養による、CSFE細胞増殖アッセイにより解析する予定である。
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Causes of Carryover |
2019年度の若手研究が本年度にずれ込んだことで、本研究の進捗がやや遅れたことは一因である。また論文執筆作業にエフォートが割かれてしまったことも要因となった。 次年度は、S127A YAP plasmidを用いたトランスフェクション関連の試薬の購入、MRTF A/BをはじめとするsiRNAの購入、tube formationを行うためのマトリゲルの準備やBrdU測定のELISAキットの購入に使用する。また、免疫に関する実験でマウスの維持が必要になるため、その費用と、T細胞の分化、刺激に必要なIL-2などのリコンビナントタンパクの購入に使用する予定である。
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