2022 Fiscal Year Research-status Report
自己炎症性疾患PAC症候群におけるKIF7変異の炎症惹起メカニズムの解析
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21K16313
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
日高 由紀子 久留米大学, 医学部, 助教 (90569427)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | KIF7 / Gli転写因子 / hedgehog / 一次繊毛 |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦初のPAC症候群の症例でKIF7遺伝子異常を同定した。KIF7遺伝子変異によりKIF7の機能変化を細胞生物学的に解析行っている。KIF7は一次繊毛の形態および機能を掌り、ヘッジホッグシグナルの活性化を調整していると考えられている。その下流シグナルとして転写因子Gliが知られ、細胞質蛋白であるSuppressor of Fused(SuFu)と複合体を形成し活性化する。この活性化の過程において、SuFu-Gli複合体は速やかに一次繊毛における細胞内局在を変えることが報告されている(J Cell Biol.2010;191:415-428)。 PAC症例と健常者由来のiPS、あるいはKIF7-S456FとKIF7-wtを強発現させたヒト細胞株を用いて、hedgehog活性化誘導試薬による処理後、免疫蛍光染色によってGliの細胞内局在を観察することで、Gliの活性化を確認する。Gli転写活性の解析には、Gli転写因子認識配列をもつレポータープラスミド8×3'Gli-BS-delta51-LucⅡ、およびその変異プラスミド8×m3'Gli-BS-delta51-LucⅡを用いたアッセイを行う。この目的のため、hedgehog活性化誘導試薬が有効な細胞下部の選択をおこなっている。PAC症例と健常者由来のiPS細胞、あるいはKIF7-S456FとKIF7-wtを共発現させたヒト細胞株をLPSなどリガンドで刺激し、インフラソームの活性化を誘導し、IL-1β濃度をELISAで測定する。また、他施設におけるKIF7変異マウスの解析研究機関との共同研究をセットアップした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
KIF7遺伝子導入は各種細胞において確認された。レポータープラスミド8×3'Gli-BS-delta51-LucⅡとの共発現にも成功した。hedgehog活性化誘導試薬によるGliの活性化を十分なシグナル強度として検出できていない。今後、細胞株の変更などを考慮する。 一方で、今研究に関して川崎医科大学との共同研究を開始することができた。具体的にはKIF7変異マウスを用いた解析が行われているが、その結果KIF7遺伝子変異により発現が激変し、PAC症候群の病態を説明しうる遺伝した同定され、本研究を推進する大きな情報となった。その情報をもとに患者さんと健常者の血液検査を行い、リガンドで刺激、差をみる研究を計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り疾患を惹起するKIF7遺伝子変異によるGli活性化を評価する研究を進めていく。さらに、共同研究を展開することで、よりヒト症例を説明しうる具体的な展開(サイトカイン産生への影響など)を見据えた研究を引き続き行う。
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Causes of Carryover |
Gli転写活性の解析、Gliタンパクの局在解析、KIF7遺伝子変異とインフラマソーム活性化について当初3年の研究計画で予定しており、今年度はまだ研究途中である。Gliタンパクの局在解析として、PAC症例と健常者由来のiPSあるいはKIF7-S456FとKIF7-wtと共発現させたヒト細胞株にhedgehogシグナルの活性化誘導試薬で処理した後に免疫蛍光染色によってGliの細胞内局在を観察する。今後、健常者を募って、そろえばPAC症例と健常者の血清から血球を採取し、リガンドで刺激、IL-1β、IL-6、TNFαのELISAを行う。そのほか樹立されたiPS細胞を刺激し、インフラマソーム活性化のメカニズムを検証する予定。
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