2022 Fiscal Year Research-status Report
術後の低活動型せん妄に対するカフェインの治療薬としての有効性の検討
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21K16548
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤本 大地 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (80792449)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | せん妄 / 低活動型せん妄 / カフェイン / 脳波 / 行動実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、カフェインの低活動型せん妄に対する抑制効果を検討・解明することが目的である。まず、全身麻酔下でマウスに腸管操作手術を行った。その後、解析ソフトであるDeepLabCutを用いたオープンフィールドテストをせん妄診断の1つとして行った。その結果、手術を行わなかった群と比較し、手術を行った群では不安を示すとされるフィールド中心での滞在時間の延長を認め、術後せん妄を発症している可能性がある。他の行動実験としては、buried food testや Yメイズテストを検討しているところである。またせん妄診断として、脳波測定を検討中である。すでに脳波を測定することに成功しており、覚醒下では観察されるβ波は、鎮静下での消失を確認している。今後は覚醒時・活動時の脳波を測定する予定である。予備実験として、術後マウスにカフェインを投与したが、予想と異なり興奮状態となった。追加の検証実験が必要と考えている。今年度上半期中に術前・術後の行動実験・脳波測定を行い、せん妄の病型分類を行なってみる予定である。 また、カフェインよりも同じコーヒーの苦味成分であるアルカロイドが、せん妄に対する予防効果を示す可能性もあると考え、文献検索等を行っている。本研究では上述の動物実験の他に、ヒトに対する無作為化研究を平行して行う予定である。現在、その計画を練っている段階である。今後、当院の倫理委員会に提出し、研究の許可を得る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初、カフェイン自体の抗低活動型せん妄に対する治療効果を予想していたが、カフェインよりもコーヒーに含まれる苦味成分であるアルカロイド類が関与している可能性もあるため、文献検索や実験方法等の再検討に時間を要している。また、コロナ診療で多忙を極めたため、進捗状況は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、手術によりマウスのせん妄を誘発し、行動実験と脳波測定を行う予定である。測定条件が整えば、低活動型せん妄を誘発し、カフェイン及びアルカロイド類を投与し、低活動型せん妄の予防効果について検討する。また、ヒトを対象とした研究では、倫理委員会の研究許可を得る予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画の遅れのため、必要物品をまだ購入していない。今年度中にそれら必要物品を購入予定である。また、コロナウイルス感染流行のため、国内学会や国際学会に参加できておらず、旅費等の経費が必要になっていないため。コロナウイルス感染が落ち着けば、現地開催の学会等に参加する予定である。
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