2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of molecular expression changes related to analgesia in the spinal dorsal horn induced by spinal cord stimulation
Project/Area Number |
21K16554
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
奥谷 博愛 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (90889370)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脊髄刺激療法 / 神経障害性疼痛 / 脊髄後角 / マイクログリア / ニューロモデュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
神経障害性疼痛は神経系の損傷によって引き起こされる難治性の痛みであり、脊髄のグリア細胞(マイクログリア・アストロサイト)は神経障害性疼痛と関係している。現時点でグリア細胞の増加や活性化により神経伝達やシナプス後の興奮性が修飾されることが分かっている。 臨床で行われている難治性疼痛に対する治療法の一つとして脊髄刺激療法があり、臨床的には一定の効果が得られているものの、鎮痛機序に関しては完全に解明されていない。本研究では、神経障害性疼痛モデルラットに脊髄刺激療法を行うことで、種々の脊髄刺激療法の刺激パターンが脊髄後角のグリア細胞および疼痛関連分子やその受容体へ及ぼす影響について検討している。 動物に脊髄刺激電極を埋め込んだ従来の研究では、脊髄近傍に留置するリードにより脊髄損傷を含む直接的な脊髄への影響を否定できないほど大きな電極を使用していた。本研究を行うにあたり、ヒトに臨床使用している刺激電極に類似し、動物にとってより安全である新たな刺激電極作成に取り組み、2021年度に完成した。その刺激電極に臨床使用している電気刺激と同様の刺激が通電されていることが確認できている。 この電極を神経障害性疼痛モデル動物に植え込み研究を進めることで、鎮痛効果の定量化ならびに刺激の種類に応じた鎮痛効果メカニズムを明らかにすることができれば、神経障害性疼痛の原因となる各病態においてより適切な刺激方法を見つけ出すことが可能になると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新たな実験方法を確立する必要があり、予定通りには進行していない。 今回の実験のためにラット用の電極を新たに作成するということで時間を要したが完成に至り、電気刺激が問題なく通電できていることは確認できている。今後も改良が必要となるためある程度の時間がかかることが予想されるが、着実に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の研究では、今回作成した新電極を用いて、①神経障害性疼痛モデル作成→脊髄刺激電極植え込み、②行動実験ならびに脊髄組織の摘出、③マイクログリア活性の評価に加えて脊髄後角での疼痛関連分子とその受容体についての評価を行っていく。
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Causes of Carryover |
研究代表者が2021年8月に海外留学から帰国したため実験を遂行する準備に時間がかかっているのが現状である。脊髄刺激装置に関しては代用品が使用可能となったために支出経費を抑えることができた代わりに開発した新電極の費用に今後の支出が多く発生する見込みで、次年度の研究費は当初予定したとおりに執行予定である。
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