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2021 Fiscal Year Research-status Report

細胞外分泌小胞による摂食メカニズムの解析と新規治療法開発

Research Project

Project/Area Number 21K17638
Research InstitutionGifu University

Principal Investigator

濱本 明恵  岐阜大学, 工学部, 助教 (60784197)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
KeywordsGタンパク質共役型受容体 / エクソソーム / 摂食 / メラニン凝集ホルモン受容体
Outline of Annual Research Achievements

最近、非常に注目を浴びている物質としてエクソソームが挙げられる。エクソソームとは細胞外へと放出される極めて小さい(50-150 nm)膜小胞である。エクソソームにはタンパク質、脂質、核酸など様々な物質が含まれており、放出されたエクソソームは異なる細胞に取り込まれることで細胞間の情報伝達を行う。エクソソーム内にGタンパク質共役型受容体(GPCR)が存在することが報告されているが、現在ごく一部のGPCRしか報告例がない。そこで、摂食関連GPCRに焦点を当て、エクソソームに発現するGPCRを探索した。
各GPCRの安定発現細胞株を樹立し、培養上清からエクソソームを精製した後、ウエスタンブロッティング法及びRT-PCR法によってGPCRの発現を解析した。その結果、メラニン凝集ホルモン受容体(MCHR1)がエクソソームに存在することを初めて見出した。一方、グレリン受容体やソマトスタチン受容体3型、メラノコルチン受容体4型などはエクソソームに存在しないことが判明した。またMCHR1含有エクソソームを取り込むことで異なる細胞にMCHR1が送達され発現・機能することを示した。さらに、GPCRのリガンド刺激によりエクソソーム放出量が著しく増加すること、MCHR1のエクソソーム発現には糖鎖付加修飾の影響を受けることも明らかにした。続いてGPCRがエクソソームに発現するための条件を調べるため、エンドサイトーシスに関わるタンパク質との局在を観察した。その結果、MCHR1と異なりエクソソームに含有されないGPCRはRab7やLAMP1などのリソソームに関連するタンパク質との共局在が観察され、リソソームへと運ばれ分解される可能性が示唆された。本研究によりエクソソームを介したGPCR送達とそのメカニズムが明らかとなり、GPCR含有エクソソームを利用した新規治療システムの構築が期待される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

①エクソソームに含まれる摂食関連GPCRの同定
Flagタグを付加した摂食関連GPCRを哺乳類培養細胞に遺伝子導入し、安定発現細胞株を樹立した。その培養上清を回収した後限界濾過で濃縮し、アフィニティー精製キットを利用してエクソソームを精製した。回収したエクソソームに摂食関連GPCRがタンパク質またはmRNAとして発現しているかをウエスタンブロット法および逆転写PCR法により解析した。その結果、MCHR1安定発現細胞の培養上清から精製されたエクソソームには、MCHR1のタンパク質およびmRNA両方が存在することが判明した。一方、グレリン受容体、ソマトスタチン受容体3型、メラノコルチン受容体4型はウエスタンブロット法および逆転写PCR法のいずれにおいてもエクソソームにおける発現は検出されなかった。
②エクソソームにおける摂食関連GPCRの機能解析
通常のHEK293T細胞にMCHR1含有エクソソームを添加した結果、エクソソーム添加後3時間でMCHR1が発現する傾向が確認された。また、MCHR1安定発現細胞とHEK293細胞を共培養した際もHEK293細胞にMCHR1が発現する傾向が見られた。さらに、リガンド添加によりエクソソームの放出量が著しく増加した。
WB解析において、エクソソームに発現するMCHR1は糖鎖付加された状態のみ検出されたことから、糖鎖付加阻害剤であるツニカマイシンの影響を解析した。その結果、エクソソームにおけるMCHR1発現は糖鎖付加修飾が必要なことが分かった。
GPCRがエクソソームに発現するための条件を調べるため、エンドサイトーシスに関わるタンパク質との局在を観察した。その結果、MCHR1と異なりエクソソームに含有されないGPCRはRab7やLAMP1などのリソソームに関連するタンパク質との共局在が観察され、リソソームへと運ばれ分解される可能性が示唆された。

Strategy for Future Research Activity

引き続きエクソソームに発現する摂食関連GPCRの探索を行い、エクソソームに存在するGPCRの共通点(配列、細胞内シグナル、結合タンパク質等)を調べる。また、MCHR1含有エクソソームの取込み量などに課題があるので、条件検討を進めることで至適条件を決定し、MCHR1含有エクソソームの機能の詳細な解析を行う。さらに、エンドサイトーシスの過程に関わる細胞内因子との相互作用を調べることで、GPCRがエクソソームに発現するためのメカニズムを解析する。
マウスから血液を採取し、血漿を精製して血中エクソソームを回収する。ウエスタンブロット法および逆転写PCR法を行うことで、同定した摂食関連GPCRがin vivoで実際にエクソソームに存在しているかどうかを解析する。摂食関連GPCRが存在するエクソソーム内にGPCRシグナルに関係する分子(Gタンパク質、βアレスチン、キナーゼ等)が共発現しているかを解析する。マウスに高脂肪食を投与した場合または絶食を行った場合、エクソソームに含まれる摂食関連GPCRの種類や発現量等に変化が生じるか測定する。
最終的に、GPCR含有エクソソームが治療方法として有効かどうか検討する。GPCRを強制発現した細胞の培地からエクソソームを回収してマウスの血中に投与し、どこに取り込まれるか等の体内動態を解析する。また摂食行動や体重変化、エネルギー代謝への影響を調べる。この時、目的とする組織にエクソソームが取り込まれるように、培養細胞の種類、膜表面の細胞接着分子を強制発現させるなど広く条件検討を行う。GPCRを含有するエクソソームを薬物輸送システムのように活用することで、リガンド側ではなく受容体側の発現機能を調節するというこれまでにない治療法となることが期待される。

Causes of Carryover

注文したディープフリーザーの部品が欠品しており納期が遅れたため(2022年4月に納品済み)

  • Research Products

    (3 results)

All 2022 2021

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] 摂食関連受容体と細胞から分泌されるナノ粒子2022

    • Author(s)
      濱本明恵
    • Organizer
      SPIRITS生物-無機-有機融合化学セミナー
  • [Presentation] エクソソームによるGタンパク質共役型受容体(GPCR)の伝達機構2021

    • Author(s)
      道前桃花、山田凌平、竹森洋、濱本明恵
    • Organizer
      第94回日本生化学会
  • [Presentation] エクソソームにおける摂食関連GPCRの発現と機能2021

    • Author(s)
      山田凌平、道前桃花、竹森洋、濱本明恵
    • Organizer
      第44回日本分子生物学会

URL: 

Published: 2022-12-28  

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