2021 Fiscal Year Research-status Report
共役化理論に基づくカードベース暗号の数理構造の解明
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21K17702
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
品川 和雅 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 助教 (20896089)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 暗号理論 / カードベース暗号 / 秘密計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度に実施した研究の具体的な成果は以下の通りである。 カードベース暗号において、どのようなシャッフルのクラスが効率的に実現できるかを調べることは重要な研究課題である。我々は、一様閉シャッフルというクラスのシャッフルをどのように簡単なシャッフルの列に帰着できるのかについての理論を提案した。本成果は2022年暗号と情報セキュリティシンポジウム(SCIS 2022)で発表した。また、グラフシャッフルという有向グラフに基づくシャッフルを定義し、パイルスクランブルシャッフルの組み合わせでグラフシャッフルを実現できることを示した。グラフシャッフルのクラスは、ランダムカット等の多くの自然なシャッフルを含んでいるクラスである。本成果はSCIS 2021で発表し、査読付き英語論文誌New Generation Computingに採録された。 秘匿共通集合計算は秘密計算の分野では数多くの研究があるが、これまでに秘匿共通集合計算を行う専用のカードベース暗号プロトコルは存在しなかった。そこで、カードベースの秘匿共通集合プロトコルを初めて構成した。本成果はコンピュータセキュリティシンポジウム2021 (CSS 2021)で発表した。 秘密計算に関する研究として、ブロックチェーン技術を用いた公平な秘密計算プロトコルに関する研究に取り組んだ。既存研究では定数ラウンドと線形トランザクションで実現する汎用的なプロトコルは存在しなかったが、そのようなプロトコルを初めて構成した。本成果は査読付き国際会議Tokenomics 2021で発表し、またその改良版をSCIS 2022で発表した。 カードベース暗号を暗号教育に応用する啓蒙活動にも取り組み、その授業記録をSCIS 2022で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はカードベース暗号と秘密計算に関する研究として、査読付き英語論文誌1件、査読付き国際会議1件、国内会議5件の発表を行なった。研究成果は継続して出ており、本研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も本年度と同様に継続して研究に取り組み、国内会議、国際会議、論文誌等に発表していくつもりである。また、本年度はシャッフルの一様分解という新しい概念の発見を行うことができた。次年度は、一様分解の手法を探究し、その実現方法を模索することを計画している。本研究を進める上で、東京大学九州大学、新潟大学、豊橋技科大学、産総研との共同研究を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスによる世界的情勢により、国内外の出張等が大幅に減ったことが理由である。次年度以降、これまでに自粛されてきた会議も増えることが予想されるため、次年度に繰り越す必要がある。
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Research Products
(7 results)