2021 Fiscal Year Research-status Report
同種写像問題の困難性に基づく耐量子計算機暗号の安全性解析
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21K17739
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小貫 啓史 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特任研究員 (50896173)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 同種写像暗号 / 耐量子計算機暗号 / 楕円曲線 / 応用数学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以下の研究を行った。 1. 2020年に発表されたradical isogeniesと呼ばれる同種写像計算公式をMontgomery曲線に拡張した。新しい公式を同種写像暗号CSURFに適用すると古い公式では必要であった曲線間の変換にかかる計算が不要になり、暗号化計算を高速化できることを示した。本結果を日本応用数学会2021年度年会で報告し、その後、国際会議PKC2022で発表した。2. 同種写像暗号B-SIDHの高速化を目指して、用いられる曲線の定義体の標数が効率性にどのように影響するかを調べた。また、求められる性質を標数をどのように生成するかについて研究した。これらについてSCIS2022で報告した。3. 終結式を用いた同種写像計算公式の高速化について検討し、Edwards曲線上での実装を与えることで高速化が可能であることを具体的に示した。この結果について日本応用数理学会第18回研究部会連合発表会で報告した。4. 同種写像署名SQISignの安全性について解析した。特に公開鍵となる超特異楕円曲線が属する集合およびそのサンプリング方法が安全性に与える影響を考察した。結果、公開鍵の集合はある攻撃に対して弱い鍵を多く含む傾向があることを示した。また、現在の実装における公開鍵のサンプリング方法は一部の公開鍵を生成しない可能性があることを示した。これらの結果についてSCIS2022で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は同種写像暗号の安全性に関わる数学的理論について成果を得ることを目標としていた。研究実績の概要4.の通り、同種写像グラフの数学的理論からSQISignにおける公開鍵の安全性について成果を得ている。 また、他に同種写像計算の高速化についても複数の成果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要3.の結果の論文誌への投稿を予定している。また、4.で発見したSQISignの公開鍵の生成方法の問題点を修正する方法について着想を得ているので、それについて考察し結果を査読付き会議あるいは論文誌へ投稿することを目指す。さらに1.の新たな同種写像公式は同種写像グラフの探索への応用も可能であると考えられるので、それについても検討する。 新しい課題として、現在知られている同種写像を求めるアルゴリズムと一部の同種写像暗号を破るアルゴリズムにはギャップを埋めることを検討している。
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Causes of Carryover |
COVID19の蔓延により学会の一部がオンラインで開催となったため、予定していた旅費を使用しなかったため次年度使用額が生じた。2022年度においては学会等も正常化し、かつ原油高、円安の影響により旅費が高騰すると考えらえれるため、繰越額は旅費に充当することを予定している。
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Research Products
(6 results)