2021 Fiscal Year Research-status Report
地域社会で多面的役割を発揮する樹木信仰の場のマネジメント手法に関する国際比較研究
Project/Area Number |
21K17962
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
上田 萌子 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (10549736)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 路傍樹 / 生育状況 / 保存樹 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、日本・台湾・インドネシアを対象に、アジアの共通文化である樹木信仰の場の存続要因を、管理運営の仕組み、空間整備状況、公的支援の状況といった点から調査し比較することで、持続的な地域社会に資する樹木信仰の場の今後のマネジメント手法を明らかにすることを目的としている。 当初計画では、台湾およびインドネシアにおけるフィールド調査を早期に実施する予定であったが、継続するコロナ禍のため、予定していた海外調査を実施することができなかった。 そのため、2021年度は調査対象を所属大学の近隣に限定し、大阪市において「路傍樹の存続状況と公的保全の課題」をテーマにした研究を遂行した。路傍樹とは、区画整理により、寺社や民家の敷地から道路上にはみ出して位置するようになった樹木のことで、残されてきた理由には、地域住民の信仰対象になってきた背景がある。 20年前の先行研究で明らかにされている大阪市内の23地点で残存状況調査、利用・管理状況調査、生育状況調査を実施した結果、路傍樹は5地点で撤去されるなど衰退傾向にあり、残存する地点においても厳しい管理状況や生育条件に置かれていることが明らかになった。一方、参拝や伝統行事の存続が多くの地点で確認されたことから、文化的価値は健在であった。また、単独の樹木を保全する公的制度である「保存樹」制度の路傍樹への適用にあたり、指定されれば必ず助成が受けられるわけではないこと、制度の普及啓発がHP上での紹介に留まっている等の問題点も明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では、台湾およびインドネシアにおけるフィールド調査を早期に実施する予定であったが、継続するコロナ禍のため、海外調査を実施することができなかった。そのため、2021年度は調査対象を所属大学の近隣である大阪市に限定し、研究を遂行した。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍により実施できていない海外でのフィールド調査は、実現できる社会状況となった際に実施できるよう準備を進める。
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Causes of Carryover |
海外調査が実施できなかったため、計画していた旅費や人件費が発生しなかった。翌年度以降、海外調査が実施できる状況となった段階で使用する予定である。
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