2021 Fiscal Year Research-status Report
多面光波変換型スケーラブル光演算回路の創成と深層ニューラルネットワーク応用
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21K18168
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
種村 拓夫 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (90447425)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Keywords | 集積フォトニクス / ニューラルネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、多面光波変換法に基づくスケーラブルな光ユニタリ変換回路を用いることで、任意の線形行列演算を光領域で高速に実現することを目的とする。このような回路を深層ニューラルネットワークの線形処理部に適用することで、チップ内を光が伝搬するだけで演算が完了する究極的に低消費電力かつ低遅延な処理が可能になる。具体的には、数ミリ角の半導体チップ内に多数の光回折部と光位相シフタ部を高密度に集積し、光の回折と波面制御を繰り返すことで任意の線形演算を行う。従来手法とは本質的に異なり、チップ内での光の回折現象を直接利用することで、光波の空間並列性のメリットを最大限活かしながら、作製誤差に対してもロバストな、真にスケーラブルな光演算回路を実現することを目指している。 2021年度は、まず、10入力光ユニタリ変換器を試作し、その特性を評価した。多面光波変換法特有の作製誤差耐性に起因して、両偏波モードに対して動作することを実証した。また、チップサイズの削減に向けて、非等分配型多モード干渉カプラを用いた構成を提案し、インジウムリン素子を用いて有効性を実証した。さらに、スケーラビリティに関して、2×2マッハツェンダー干渉計をメッシュ状に接続した従来手法との比較検証を行った。その結果、従来手法では規模拡大に伴い作製誤差耐性が劣化するのに対して、多面光波変換型素子ではよりロバストになるという特異な性質を明らかにした。本成果は、多面光波変換手法に内在する特徴であり、大規模な光演算を実現する上で有効になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
まず、当初の目的であった10入力ユニタリ変換回路について、試作実証を終え、想定通りの良好な実験結果を得ることができた。また、従来型との比較を行い、作製誤差耐性とスケーラビリティの優位性を実証すると同時に、そのメカニズムを明らかにした。特に、規模拡大に伴い作製誤差耐性が向上する性質は、当初想定しておらず、期待以上の結果である。さらには、非等分配型多モード干渉カプラの使用による小型化の可能性など、新しいアイディアも生まれており、当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で目標とするスケーラブルな光演算回路の実証に向けて、本年度は、以下の研究開発項目を並行して進める。 ・深層ニューラルネットワークに適用した場合の機械学習性能を検証する。 ・光ユニタリ変換回路を用いた多モード空間分離機能を検証する。 ・光ニューラルネットワーク検証用に新規シリコンフォトニクスチップを設計・試作する。
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Causes of Carryover |
当初予定通り、当該年度中にシリコンフォトニクスチップを設計し試作依頼を行ったが、業者における試作が予定より遅れ、次年度に納品される見込みになったため、試作費相当額が次年度に繰り越される形になった。次年度の納品時に執行され、全体の予算執行計画に支障はない。
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Research Products
(11 results)