2023 Fiscal Year Research-status Report
多面光波変換型スケーラブル光演算回路の創成と深層ニューラルネットワーク応用
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21K18168
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
種村 拓夫 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (90447425)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Keywords | 光集積デバイス / ニューラルネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、多面光波変換法に基づくスケーラブルな光ユニタリ変換回路を用いることで、任意の線形行列演算を光領域で高速に実現することを目的とする。このような回路を深層ニューラルネットワークの線形処理部に適用することで、チップ内を光が伝搬するだけで演算が完了する究極的に低消費電力かつ低遅延な処理が可能になる。具体的には、数ミリ角の半導体チップ内に多数の光回折部と光位相シフタ部を高密度に集積し、光の回折と波面制御を繰り返すことで任意の線形演算を行う。従来手法とは本質的に異なり、チップ内での光の回折現象を直接利用することで、光波の空間並列性のメリットを最大限活かしながら、作製誤差に対してもロバストな、真にスケーラブルな光演算回路を実現することを目指している。 2023年度は、前年度までに設計・試作した光回路を駆動・制御するための実装部と電子回路部を完成させ、深層ニューラルネットワークの実験を開始した。まず、大量の電極を同時に駆動する際に出力電圧が不安定になる問題の原因を突き止め、スナバ回路による補償回路を挿入することで安定化させた。また、光回路の温度制御機能を改善するために、サーミスタとペルチェ素子を取り付け自作の温度調整素子を作製し、汎用コントローラにより精密に制御することに成功した。さらに、光受信回路にトランスインピーダンス増幅回路を導入することで、検出感度を大幅に改善し、学習効率を向上させた。以上の改善を踏まえ、全ての光位相シフタ部を動作させることで、機械学習が行えることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終目標である光演算回路を用いた深層ニューラルネットワークの実験実証に向けて、順調に準備を進められた。光回路上の大量の光位相シフタと光検出部の駆動・制御を行う上で、電子回路内の発振や光素子の発熱に伴う温度変動など、当初予期していなかった様々な問題が発生したが、一つずつの問題を入念に調べて解決することで、基本的な動作確認に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果に基づき光演算回路の実証実験を進めることで、MNISTデータセットを用いた手書き文字認識など、ベンチマークタスクを実証する。これにより、従来構成に比べて光位相シフタの数を大幅に削減したスケーラブルな特性を実証し、最終目標を達成する。
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Causes of Carryover |
実験計画の見直しに伴い電子回路と光学部品に係る物品費の一部を次年度に持ち越したため、残額が発生した。翌年度に本経費を充てることで、光回路を用いた実証実験を完了し、当初計画通りに遂行する。
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Research Products
(13 results)