2021 Fiscal Year Research-status Report
Planning Method for Robust Compact City with Disaster Mitigation on Population Reducing Cities
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21K18174
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
瀬戸口 剛 北海道大学, 工学研究院, 教授 (20226674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 唯貴 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (60557841)
渡部 典大 北海道大学, 工学研究院, 助教 (80823400)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Keywords | コンパクトシティ / 人口減少都市 / GIS / ロバスト防災 / ハザードマップ / 津波避難可能ビル / 津波想定浸水深 / マルチエージェント |
Outline of Annual Research Achievements |
①対象地方都市のうち函館市と釧路市の中心市街地における、災害危険度と避難可能性について明らかにした。両市が公開する災害危険区域やハザードマップなどを用いて、津波想定浸水区域を500mメッシュごとに示し、津波想定浸水深を3m区分で図示した。同時に、両市の都市計画基礎調査より、建物高さをGIS上で示した。それらを統合して、津波想定浸水深+2階分をバッファーとし、それよりも高い建物、かつ新耐震基準を満たしている建物を、津波被害を免れる残存可能性が高い「津波避難可能ビル」とし、GIS上で示した。さらに「津波避難可能ビル」のうちで、津波想定浸水深+2階分よりも高い階数部分の床面積を、それぞれ明らかにしGIS上に明示した。その結果、自治体が指定する「津波避難ビル」に加えて、「津波避難可能ビル」が大幅に上回ることが明らかとなり、津波災害時に避難できるビルが大きく増加することを示した。 ②「津波避難可能ビル」に避難可能な人口を明らかにした。対象地方都市にうち函館市において、「津波避難可能ビル」周辺に居住する人口から、高齢者の避難を考慮して分速28mで「津波避難可能ビル」に到達できる人口を明らかにした。その結果、中心市街地居住人口91,962人のうち、函館市が指定する「津波避難ビル」へ避難できる居住人口は49,279人(居住人口の53.6%)に留まることに比べて、「津波避難可能ビル」全体を対象とすると88,428人(同96.2%)が津波からの避難が可能となることが明らかとなった。中心市街地にある多くの建物ストックを「津波避難可能ビル」として指定し、活用することで、多くの人命を津波被害から免れる可能性を示すことができ、防災計画において画期的な結果が明らかとなった、また、中心市街地へのコンパクトシティを推進する都市計画においても、津波からの甚大な被害を回避できる可能性が高まり、有用な結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記述した通り、2021年度に予定していた研究内容をおおむね遂行することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、人口減少および少子高齢化が著しい地方都市において、人口減少に見合う形で都市拠点かつ防災上安全な地区に居住地を集約し、地方都市の防災効果を高めるロバストコンパクトシティを構築することが目的である。今年度は以下の3点を進める。 ①対象地方都市(北海道函館市、釧路市、室蘭市、稚内市、夕張市)における2040年の地区別の将来人口予測から、居住人口が市街地として存続する地区を明らかにしている。地区別人口には、人口問題研究所の将来人口予測をもとに、国土交通省が公開している都市別人口推計500mメッシュデータを用い、対象地方都市における現在の居住人口と、2040年の人口を、GISデータとして示している。それらをもとに今年度には、将来人口推計に基づく2040年の将来都市像の検討を行う。 ②GIS上に示した「津波避難可能ビル」の効果を明らかにする。巨大地震による甚大な津波被害が想定される、函館市および釧路市において、「津波避難可能ビル」の効果を、津波シミュレーションにより明らかにする。さらに、それらについて、函館市役所および釧路市役所の防災担当課に対してヒアリングを行い、実務上の効果を検証する。 ③都市をコンパクト化しながらも災害に強いロバストコンパクトシティを開発し、それらの防災効果を対象地方都市において把握する。中心市街地へのコンパクト化による、津波や水害から避難施設や津波避難可能ビルへの避難距離の低減、がけ崩れの危険性の高い建築物の低減などを、マルチエージェントを用いた避難シミュレーションにより明らかにする。また、ロバストコンパクトシティ素案に対する実務上の効果を把握するために、これも函館市役所および釧路市役所の防災担当課に対してヒアリング調査を行う。さらに、両市において実際の避難施設や津波避難ビルへの避難行動を把握するため、モバイルGPS端末機を用いた避難検証を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症蔓延のため、対象地方都市における現地調査が十分に行うことができなかったため、次年度に現地調査を行う。
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