2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of geologically short-time thermometry and its application for earthquake mitigation
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21K18178
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山本 由弦 神戸大学, 理学研究科, 教授 (10435753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千代延 俊 秋田大学, 国際資源学研究科, 准教授 (40526430)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2026-03-31
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Keywords | ロックエバル / Tmax / ビトリナイト / 火成岩貫入 / 短時間加熱 / 熱異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究採択後、予定通りロックエバル装置のオートサンプラーの製作・修理に取りかかった。当初は自作を予定していたが、フランスVinci社が当該機器に合うオートサンプラーを製作できることになり、製作を依頼した。ただし、新型コロナウイルス流行のため技術者が来日できなかったので、取り付けや調整はこちらが実施した。その結果、自動で試料を炉にセットできるようになり、測定効率が飛躍的に改善された。 また、効率良く測定試料を準備するための試料ホルダを製作したほか、高額な試料るつぼ、Oリングのコストを削減するために、町工場と協力して製作を行った。 1年目に計画していたのは、従来の温度指標であるビトリナイトと、本研究で確立を目指すTmaxの相関検討である。これを実施するために、種子島、宮崎、四国の付加体と被覆層から試料を採取し、両者の相関検討を実施した。手持ちの試料を使って、紀伊半島と三浦・房総半島のパイロット検討も実施した。その結果、非常に良い相関が得られた。一方で、火成岩近傍はTmaxがトレンドから外れて高い値を示した。これによって、ビトリナイトよりもTmaxの方が短時間加熱にはるかに敏感であることが示された。さらに、両者の相関を確立させてTmaxから実際の被熱温度を計算するためには、火成岩の温度異常を除いたベースラインで相関式を検討する必要がある。そのため、この相関検討は継続的に実施し、より多くのデータを蓄積する必要があることも確かめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度予定していたオートサンプラーの製作と導入は、予定通りに完了した。さらに、予定にはなかった試料ホルダや、試料るつぼ、Oリングの製作を行い、コストの削減に成功した。 ビトリナイトと、Tmaxの相関検討については、新型コロナウイルスの感染流行のため現地調査がやや遅れているが、測定・検討自体は順調に実施することができた。以上のことから、概ね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)Tmaxから実際の被熱温度を計算するために、ビトリナイトとTmaxの相関を確立させる。そのためには、より多くの相関検討が必要であることが確認されたため、2022-2023年度にかけて継続的に実施し、より多くのデータを蓄積する。 2)当初計画の室内実験も予定通り行う。未変成で被熱温度が低い、試料を使用して昇温実験を行う:ある温度(たとえば400℃)で昇温をやめて冷却した後に再び昇温させ、Tmaxが先に与えた昇温情報を示すか、検証する。 3)オートサンプラーの製作と導入によって多くの試料が処理できるようになったので、火成岩のような短時間加熱に対するTmaxの応答性についても検討を前倒しで始める。静岡県の富士川層群や紀伊半島、それに種子島の四万十帯に貫入する小規模火成岩脈周辺において、Tmaxがこのような小規模かつ短時間の熱イベントを記録しているか、検討する。
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Causes of Carryover |
当初9月、延期して2月に実施予定であった紀伊半島における調査が、新型コロナウイルス流行による蔓延防止策によって4月に延期された(実施済み)。さらに、上記感染症蔓延とウクライナ情勢の変化に伴う材料高騰によって、実験消耗品の製作に遅れが出ている。 これらは、すでに発注済みであるので、2022年4月から5月にかけて解消すると期待される。
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