2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of geologically short-time thermometry and its application for earthquake mitigation
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21K18178
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山本 由弦 神戸大学, 理学研究科, 教授 (10435753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千代延 俊 秋田大学, 国際資源学研究科, 教授 (40526430)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2026-03-31
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Keywords | ロックエバル / S2 / S4 / TOC |
Outline of Annual Research Achievements |
1年目完了時点で明らかになった、Tmaxから実際の被熱温度を計算するために、ビトリナイトとTmaxの相関を確立させるには、より多くの検討が必要であることが確認された。このため、2022-2023年度にかけて継続的に実施し、より多くのデータを蓄積することになった。今年度は、新たに静岡県の富士川層群、北海道の黒松内層、富山件の八尾層群など、火成岩貫入による短時間被熱異常の影響が見込まれる地域で検討を行った。相関式は初年度と矛盾しない結果が得られた。 一方、研究申請時に2年目の計画としていた室内での短時間加熱実験をスタートさせた。未変成で被熱温度が低い試料として、ロックエバルの標準試料を用いて、無酸素・有酸素下で300℃にて1,000秒および1,800,000秒の加熱を行った。その後、Tmaxとこれらの昇温条件を比較・検証した。その結果、同一温度であっても加熱時間が長くなるに従ってS2が連続的に減少していく様子が観察された。これは、1年目に紀伊半島と種子島で得られた結果をよく説明する。一方で、Tmaxの値にも変化が見られたものの、明瞭とは認めがたいものであった。TmaxそのものよりもS2減少と温度の相関の方が有望である可能性がある。 さらに、当初は3年目の計画に位置づけていた火成岩周辺の短時間加熱に対するTmaxの応答性についても前倒して検討を始めた。富士川層群と黒松内層に貫入する小規模火成岩脈周辺において検討したところ、黒松内層では室内加熱実験と類似するS2の連続的な現象が見られた。一方で、富士川ではS2の現象も認められるものの階段状で連続的ではなかった。むしろ、S4とTOCに連続的な現象が認められた。 2年間の研究実績のまとめとして、当初期待したTmax温度よりもS2やS4の量が短時間加熱に敏感であることが見いだされつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたビトリナイトとTmaxの相関検討と室内加熱実験に加えて、天然の短時間加熱試料(火成岩貫入による被熱異常)の検討を前倒しして行うことができた。その結果、当初の予想を覆す、有望な指標(S2, S4)が見いだされつつある。 ただし、この結果を受けて上記を実証するために特殊な実験装置を製作する必要があり、予算の問題で2023年度には研究に遅れが生じる可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、 (1)ビトリナイトとTmaxの相関検討 (2)室内加熱実験 (3)天然の短時間加熱試料の検討 を行う。特に、2022年度に明らかになった有望な指標(S2, S4)を検証するためと、今後地震断層に沿った超短時間加熱に対する応答性を評価するために、無酸素下で急加熱できるホットプレートを製作する必要が生じた。この製作に必要なコスト約200万円が不足するため、別予算を確保する必要がある。
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Causes of Carryover |
当該額は、全学研究分担者にて生じている。秋田大学にあるロックエバル機器の整備に使用する予定であったが、世界情勢の急変により材料不足と輸入に遅れが生じている。2023年度初頭には解消する見込みである。
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