2023 Fiscal Year Annual Research Report
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21K18202
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邊 一也 京都大学, 理学研究科, 教授 (30300718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 弘 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60312253)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 和周波発生分光 / 水・金属界面 / ポラリトン |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に以下の成果を得た。 (1)白金微斜面における水の吸着構造の同位体依存性:Pt(553)面に吸着した水分子の構造、特にそのOH配向について、ヘテロダイン検出和周波発生振動分光を用いて調べた。H2OおよびD2Oの同位体による挙動の違いに着目して実験を行ったところ、微斜面ステップに吸着した水の信号の被覆率依存性に大きな違いが表れた。また、被覆率50%を超えた高い被覆率において、D2Oの場合は信号強度が飽和するのに対し、H2Oではその飽和挙動が見られず、単調に信号が増加するふるまいを示した。これらの挙動を理解するために密度汎関数理論を用いた構造計算を行った。理論による最適化構造では、D2Oの被覆率依存性と整合する結果が予測され、H2Oの振る舞いは計算では再現できないことが分かった。これは、水素の核の量子効果により、表面第一層の水の配向が同位体に依存して大きく異なる可能性を示唆している。 (2)テトラフェニルポルフィリン(TPP)薄膜の高い電子励起状態における強結合状態の発現:高真空下において、石英基板上にアルミニウム薄膜およびTPP分子を蒸着することにより微小共振器構造を作製し、その光応答を定常反射スペクトル測定およびピコ秒時間分解蛍光測定により調べた。強い振動子強度を示すSoret帯に共鳴した共振器の作製に成功し、それにより真空ラビ分裂を示唆するスペクトル構造が観測された。興味深いことに、直接強結合には関わらないと考えられるQ帯に相当する遷移エネルギーにも変化が観測され、振電相互作用を介してSoret帯とQ帯が結合するモデルを用いて、強結合形成によるスペクトル変化を説明することに成功した。
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Research Products
(7 results)