2023 Fiscal Year Research-status Report
Study on a methodology that gives a bird's-eye view of interdisciplinary relationships based on statistics and machine learning
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21K18309
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
松井 知子 統計数理研究所, 学際統計数理研究系, 教授 (10370090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 大輔 統計数理研究所, データ科学研究系, 准教授 (20738249)
椿 広計 統計数理研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 名誉教授 (30155436)
高橋 泰城 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (60374170)
船渡川 伊久子 統計数理研究所, データ科学研究系, 准教授 (80407931)
山形 与志樹 慶應義塾大学, システムデザイン・マネジメント研究科(日吉), 教授 (90239864)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Keywords | 異分野相関 / 統合評価モデル / データ駆動 / 確率モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
古典的なDICE(Dynamic Integrated Climate-Economy)モデルは、経済と気候システムの結合モデリングのための広く受け入れられた統合評価モデルであり、 すべてのモデル状態変数は時間とともに決定論的に進化する。このモデルは、貯蓄と炭素排出削減率を制御変数として、炭素濃度、温度、経済資本に関連する6つの状態変数(炭素排出緩和率と消費に影響を受ける)が時間とともに決定論的に進化する最適制御動的計画問題として再構成し、経済と気候変数への離散的で連続的な確率的衝撃を追加することで確率的DICEモデルとして拡張することができる。しかし、その場合、数値解析は高次元では計算上不可能になるため、昨年度は最小二乗モンテカルロ法(LSMC)を適用して制御変数と状態変数に対する多項式回帰近似を行い、確率的DICEモデルを推定することを試みた。ただし、このLSMCは3次以上の多項式については効果的に近似することが難しいという問題がある。そこで今年度は、多項式回帰の代わり深層学習近似を用いることを試みた。その結果、効率性と計算速度の向上をはかることができた。また、多目的な共通社会経済経路シナリオ(SSP)に着目し、確率的DICEモデルをこのシナリオのデータに同化させる方法を考案した。さらに2023年11月にUCL(英国)、UCSB(米国)、MQ大(オーストラリア)の研究者たちと共同で、国際ワークショップ「Stochastic Modelling in Climate Risk: Financial Mathematics and Economics」を開催し、本研究成果を発表するとともに、数学、統計、環境分野の専門家たちと気候変動の課題について議論を深め、本研究推進に有効な知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究スケジュールでは、2023年度にはDICEモデルについて、計算効率に優れた不確かさへの対応機能の汎用化、状況変化への対応、および多目的なシナリオに対するデータ同化の方法を検討し、DICEモ デルへの取り組みは予定通りに進展した。しかし、RICEモデルに関しては、GAM版をJulia言語に実装する取り組みが遅れており、不確かさや状況変化に関する検討ができていないため、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、昨年度に引き続き、特にRICEモデルをデータ駆動型の確率モデルに転換する課題に取り組む。また深層ニューラル・ネットワークを用いて、不確かさや状況変化への対応に関して、一層の計算効率の向上、および汎用化の課題に取り組む。またパンデミック発生の負の突発事象に加えて、気候変動対策のための革新的な技術の出現などの正の突発事象を統合する課題に取り組む。これらを通して、昨年度に引き続き、多目的に対応して様々な突発・緩行事象を包括できるモデル統合の検討を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍が過ぎ、当初予定の国際ワークショップ開催等をできるようになったものの、まだその影響で十分に実施できなかった。次年度はこれまでの分を挽回すべく、十分な活動を行なっていく予定である。
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Research Products
(14 results)