2022 Fiscal Year Research-status Report
Transporting drugs across the blood-brain barrier through information technology
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21K18310
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| Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
黒田 大祐 国立感染症研究所, 治療薬・ワクチン開発研究センター, 主任研究官 (60756732)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安楽 泰孝 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部 ), 特任准教授 (60581585)
橋口 隆生 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 教授 (50632098)
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| Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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| Keywords | DDS / 情報技術 / 計算科学 / 脳内輸送 / 中枢神経系 / 感染症 |
| Outline of Annual Research Achievements |
近年の情報科学、特に人工知能技術の進展は目覚ましく、さまざまな分野で社会実装が急速に進んでいる。情報技術の応用が最も期待されている領域の1つが、「創薬」である。しかしながら、医薬品そのもの開発では、情報技術が積極的に活用されてきた一方で、医療上極めて重要である、医薬品の標的組織への輸送系 (Drug Delivery System: DDS)に関しては、情報技術はほとんど活用されていない。そこで本研究では、機械学習やシミュレーションといった計算・情報技術を 活用し、より効率的な薬剤の脳内輸送を実現するナノキャリアの「合理的」な設計技術の確立を目的としている。本年度は主に以下の3項目を実施した。 (1) 前年度に引き続き、キャリアに内包する分子の候補となる抗体の発現・精製系の検討を行なった。麻疹ウイルスに対する抗体を標的とし、その抗体および抗原タンパク質の安定供給体制を構築できた。野生型の抗体の物性機能解析を実施し、麻疹ウイルスに対する中和能を実験的に確認した。 (2) ハイスループットな評価を実現するために、シミュレーション準備過程の自動化を行った。現在は全原子分子動力学計算を行なっており、評価関数(分子力場)としてAmberおよびGAFF2を用いている。座標データをインプットとし、そこからシミュレーションまでの過程の自動化にほぼ成功している。 (3) 前年度に引き続き、mRNAの内包を想定して、化合物ポリマー(10-mer)とRNA(10-mer)の相互作用のシミュレーションを実施した。それぞれの分子の数を複数設定し、相互作用エネルギーや溶媒露出表面積、お互いの接触回数などの変化を解析した。分担者の実験結果と比較することで、モデル系の妥当性を随時検証し、新たな実験指針の提案につながっている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4つのモデル化合物とRNAとの相互作用のしやすさをシミュレーションにより定量的に評価し実験結果との整合性を確認できた。ミセル形成の環境を模倣するために複数のモデル化合物単独でのシミュレーションも実施することができた。ミセルに内包する抗体に関しても、安定的に発現・精製するための系を構築できた。さらに、その物性および機能を評価することができた。また、分担者である実験グループとも定期的にミーティングを行い、今後の方針について議論している。以上の成果は、当初の計画通りに進んでいる。
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| Strategy for Future Research Activity |
2023年度は以下の研究を実施する。 (1) 前年度に引き続き、複数のモデル化合物(ポリマー)をランダムに配置した系で全原子シミュレーションを実施し、化合物同士の相互作用を定量的に評価する。 (2) ミセルの形成・崩壊の粗視化シミュレーションを実施する。 (3) 輸送標的となる抗体のmRNAを委託合成し、 mRNAをコアに封入したミセルを構築する。 (4) 構築したミセルの基礎物性評価(血中安定性など)を行う。
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| Causes of Carryover |
想定以上にシミュレーションで良い結果が出たため、新たな追加計算を実施した。結果として、当初の研究計画を変更し、翌年度まで実験評価を延長することで当初の研究目的を超える成果を達成することが出来るため。
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