2021 Fiscal Year Research-status Report
嗅覚刺激による乳幼児の発達への影響-匂いの絵本作成-
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21K18543
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Research Institution | Daiichi University, College of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
西地 令子 第一薬科大学, 看護学部, 教授 (30413636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古田 豊子 大阪青山大学, 健康科学部, 教授(移行) (00784597)
園田 和子 第一薬科大学, 看護学部, 准教授 (10583479)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 嗅覚刺激 / 匂い / 絵本 / 乳幼児 / 発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
提出した計画に沿って、2021年度は匂いの絵本の作成から着手しました。科研申請前に、見積もりを取っていた会社はコロナ禍の中で、閉鎖したということでしたので、出版会社あるいは編集社に数件見積もりを取りました。しかし、①350万以上、②技術的に難しく責任が取れない、のいずれかの理由で依頼できませんでした。したがって、10月からイラスト専門家、匂い印刷ができる印刷会社、仕様が可能な製本会社のそれぞれに直接依頼して、研究者およびその協力者で絵本を作成することになりました。実際に着手できたのが10月であり、素人のため業者との連携もうまくいかない中、何とか2022年5月には納品予定となりました。絵本使用はフランスで購入した匂いの種類をもとに独自のものを取り入れ、匂いは予算的なこともあり、パン、リンゴ、ラベンダー、ジャスミン、バラ、ミント、ピーチ、バニラの8種とし、匂い源を希釈したものをゼリー状に包む印刷手法となりました。 絵本の完成までには、研究計画書、アンケートや依頼文等を何度も考案・検証し、2022年の1月に本学の研究倫理審査会に提出し、「条件付き承認」を頂きました。しかし、再提出後に、なぜか再審査され、条件がエスカレートして、安全シートも業者から取り寄せた後の3回目の審査では各「匂い」によって可能性のある障害を列挙され(文献等の明記はなく)、研究進行が妨げられています。これに対して、今後は①他学での研究倫理審査、②弁護士への相談等の対応を考えております。 上記のことがクリアできれば、研究を遂行するすべての準備は整っております。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
①わが国には多くの嗅覚刺激を有する絵本が作製されていなかったため、業者の選定に時間を要し、着手までに時間がかかった。 ②本学の研究倫理審査委員会の妨害とも思えるくらいの理解不足のため、研究が進められていない。条件付き承認から条件が増えていっている。また、審査に1ヶ月要する等審査が遅い。 例)匂いの本に利用する化合物のMSDSを入手、提出されましたが、その一部の化合物の危険有害性情報に「吸入すると有害→ジャスミン」「臓器の障害→ピーチオイル、ジャスミン」「皮膚刺激→ピーチオイル、ジャスミン、ラベンダー、ローズ」「強い眼刺激→ストロングミントオイル、ピーチオイル、ジャスミン、ラベンダー、ローズ」「遺伝性疾患のおそれ→ストロングミントオイル、ピーチオイル」「生殖能または胎児への悪影響のおそれの疑い→ストロングミントオイル、ジャスミン、ピーチオイル、バニラ、ラベンダー」、「臓器の障害のおそれ→ジャスミン、ラベンダー」「発がんのおそれ→バニラ」「皮膚刺激→ジャスミン、」「呼吸器への刺激のおそれ→ストロングミントオイル、ピーチオイル」また、安全対策に「妊娠中及び授乳期中は接触をさけること→ジャスミン、バニラ、ラベンダー」と書かれてありましたが、文献はありません。 実際、ジャスミンは自律神経を安定する効果もありますが、そのことは一切触れず、どの程度の量や期間の明記もないため、この対応には苦慮している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年5月26日に到着予定の「匂いの絵本」は当然、消費する期間が限られています。このため、今後は、①他学での研究倫理審査、②弁護士への相談等、それでも難しい時には、研究代表者が他学への研究員としての異動をしても研究を続けていく意向です。 現在、AIなどの活用と開発が飛躍的に伸びる一方、人間の脳機能については明らかになっていないものが少なくありません。また、わが国の発達障害の有病率は他の先進国に比較して高率であることも早急に対応しなければならないと考えています。さらに、COVID-19に罹患した場合の症状の1つの嗅覚異常とその後遺症として意欲の低下やうつ状態などの関連についての本研究結果によっては何か寄与できる可能性も考えることから、本研究はやり遂げる必要があると考えられる。
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Causes of Carryover |
当初計画で、令和4年2月に予定の絵本の製作が約3ヶ月遅れ、納品が令和4年5月になったため、その分を令和4年度に支払いを行う。その後は計画どおりに使用予定。
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