2022 Fiscal Year Research-status Report
嗅覚刺激による乳幼児の発達への影響-匂いの絵本作成-
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21K18543
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Research Institution | Daiichi University, College of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
西地 令子 第一薬科大学, 看護学部, 教授 (30413636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
園田 和子 第一薬科大学, 看護学部, 准教授 (10583479)
古田 豊子 大阪青山大学, 健康科学部, 非常勤教員 (00784597)
栗原 はるか 第一薬科大学, 看護学部, 助教 (80614594)
田岡 晃子 大阪青山大学, 健康科学部, 助教 (40959607)
名村 駿佑 第一薬科大学, 看護学部, 助教 (20964969)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 嗅覚刺激 / 発達 / 乳幼児 / 絵本 / 自閉症スペクトラム障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究当初の予定では2021年度に「匂いの絵本」の作製をして、大学の研究倫理委員会の承認を経て、2023年1月から研究協力者(以下「対象者」)の公募予定であった。この計画では、2022年度末(応募期間 1年2カ月間)には450人の対象者が得られる予定であった。 実際の研究の進捗状況は、「匂いの絵本」の作製においては、その特殊性から2022年5月末に納品され、若干遅れたが研究に支障きたすものではなかった。 一方、研究倫理審査委員会の承認については、2021年12月に提出した申請書は翌年2022年10月中旬まで承認を得ることができず、対象者の公募開始が大幅に遅れた。また、応募開始当時は、対象者の応募が非常に少なく、SNS等で広報活動に努めた結果、2023年3月末での応募者は181人に至ったが、予定の半分にも満たないのが現状である。さらに、3か月後の追跡調査の回答は約半数と回答率が低いことが研究を困難にしている。なお、当初の対象年齢(ベースライン)を4ヶ月から12ヶ月未満としていたが、それを6ヶ月から15か月までに変更した。これは、首や体を動かして嫌な匂い等に拒否反応を示せること、対象児の安全性を考慮したからである。現在の詳細な進捗状況は、参加申し込みが194件、初回アンケート入力148件、絵本発送135件、3か月フォローメール送付は52件、そのうちアンケート入力34件とわずかであり、分析数としては十分な数には至っていない。 以上のことから、研究実績としては、今後も対象者の応募を継続し、追跡調査数100件以上で、一度分析する予定にしている。研究発表および論文執筆には至っていないが、2023年度末には学会発表や第一報の論文執筆ができるまでデータの取得に力を注ぐ予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究遂行が遅延している要因として、以下のことが考えられる。 ①大学における研究倫理審査の承認が1年近くかかり、対象者の公募開始が遅れたこと、②応募者(対象者)が少ないこと、③応募者の中には絵本のみを受理した後に対象者から外れるなどの事象(アンケートの回答がない、連絡が取れない等)、④代表者教員の講義回数が年間100コマ以上(完成年度までは他の教員に講義を替わることができない)、領域実習も重なり研究時間の確保が難しいことなど、研究遂行の妨げとなっている。その中でも、①と②については深刻であり、新たな研究戦略を検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の計画として、以下の2点を研究の推進方策とする。 第1として、対象者の公募を2023年度末(2024年3月)まで延長する。また、どのような効果があったのかを追跡調査が100件を超えた段階で分析を行う。 第2として、対象児範囲の拡大の検討である。これには3つの方略を考えている。①として、現在の応募の継続と同時に、対象者の年齢層をあげ、開始月齢の高低が「匂いの絵本」への反応・興味度や影響に差があるかを検証することである。②として、発達障害児の嗅覚刺激への反応を実際に観察することである。本研究の目的の1つが発達障害(自閉症スペクトラム障害:以下「ASD」)のスクリーニングでもあることから、ASDの嗅覚刺激への観察が可能であれば、非常な有効な検証になりうる。しかし、対象児の選定が難しいことが予測される。③として、それ以外の障害児への嗅覚刺激の反応の観察研究である。例えば、経管栄養などで食べ物の匂いの刺激体験が限定される児を対象とすることである。実際、今回の応募者の中に経管栄養児の保護者が希望したことから、児の嗅覚刺激が発達にプラスの影響があると理解されたなら、保護者からの同意も得られやすい。 第3として、科研における研究期間の延長の申請を考えている。 いずれにしても、現行の方策だけでは、目的の達成・研究の遂行は難しいと考え、研究方略(方法、対象、期間等)を再構築する必要がある。
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Causes of Carryover |
絵本の納品が遅れたので、その支出分が2022年度に繰り越したため。
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