2021 Fiscal Year Research-status Report
社会的環境が共感的喜びとシャーデンフロイデに及ぼす影響-神経指標を用いた検討-
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21K18557
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小澤 貴明 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教 (90625352)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 嫌悪 / 報酬 / 共感性 |
Outline of Annual Research Achievements |
共感能力はヒトが集団として生存し,発展する上で必須の能力である。ヒトは他者の幸福に対して同じように喜ぶこともあれば(共感的喜び),妬むこともある。また,他者の不幸に対して共に悲しむこともあれば(共感的悲しみ),他者の不幸を喜ぶことさえある(シャーデンフロイデ)。本研究は,モデル動物を用いて,個々人を取り巻く社会的環境と他者の幸・不幸に対する共感性についての基本的傾向の関係性について調べる。本年度は、モデル動物のマウスを対象として、報酬と嫌悪に基づいた行動に関する基礎的な研究を行い、さらに自由行動中のマウス脳内において神経伝達物質ドーパミンをリアルタイム記録するための手法の確立を試みた。まず、報酬性の行動課題として、レバー押し行動に着目した報酬性のオペラント条件づけを行った。また、嫌悪性の行動課題として、聴覚刺激を手がかりとした恐怖条件づけ課題を行った。どちらの課題においても、マウスの明確な学習行動が観察された。次に、他個体の報酬・嫌悪関連行動が観察可能な、2つのコンパートメントから成る行動実験装置を作成した。さらに、自由行動中のマウス脳内ドーパミン変化量を記録するため、蛍光ドーパミンセンサーとファイバーフォトメトリー法を組み合わせた記録法に関する予備実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスにおける基本的な報酬性・嫌悪性の行動課題について、多くの有益な基礎データを収集できた。また、ドーパミンイメージング実験に必要な蛍光センサーの実用性を確認し、ファイバーフォトメトリー法についても基本的な技術を確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
新しく作成した行動実験装置を用いて、他個体の示す報酬あるいは嫌悪関連行動を観察した際のマウスの行動反応を解析する。これにより、マウスの共感性を測定可能な行動課題を確立する。また、課題遂行中の動物の脳内におけるドーパミン放出動態についての解析を進める。
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Research Products
(16 results)