2023 Fiscal Year Research-status Report
放射パタンの知覚・認知特性とその応用についての研究
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21K18561
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 裕之 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (40243977)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Keywords | 錯視 / 線遠近法 / 奥行き知覚 / sunburst illusion / kinetic Orbison illusion |
Outline of Annual Research Achievements |
放射状の線分によるパタンは、様々な錯視を生み出すだけではなく、線遠近法などの日常的に使用している実用的な情報源である。本研究は放射状の線分によるパタンについての総合的な研究である。2023年度は1)放射線による錯視であるSunburst illusionについての研究、2)線遠近法の研究(基盤研究A 課題番号21H04424との連携)、3)放射線の回転時における運動錯視の研究を行った。 1)Sunburst illusionは2022年度に本研究により発表したもので、スムーズな眼球運動により、放射線の中央部から光が輝いて広がるのが見える錯視である。その評価方法として、広がりの範囲と強さについて、眼球運動の速さや位置等のパラメータを変化させて調べたところ、広がりの範囲と強さは必ずしも一致して変化せず、それぞれこの錯視の別の側面を表していることがわかった。 2)両眼立体視で凹や凸を示唆する画面に線遠近法で凸や凹を示唆する画像を提示すると、観察距離が大きくなるにつれて線遠近法が優先された奥行きが知覚された。このような現象はリバースペクティブにおいてみられたが、本研究では、他の奥行き手がかりを排除したパラボラ形状の画面においてこの現象を示すことができ、海外のジャーナルに論文を投稿した(2024年4月受理)。 3)同心円を背景として、正方形の軌跡で運動するドットにおいて、軌跡の一辺が中央に曲がって見える現象(kinetic Orbison illusion)と、放射線を背景として同じ動きをするドットの軌跡の知覚を比較し、放射線が回転するときに同様の錯視が起こることを明らかにした。この2つの錯視は共通の原理に基づいていることがわかった。 2024年は、さらなる実験と、論文の出版および学会発表の費用の捻出のために研究期間を延長している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた研究は行うことができている。研究期間の延長により、さらなる研究の進展と成果発表の機会が得られる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画等に特に変更はない。研究期間の延長は、さらなる実験と、オープンアクセスによる論文出版および海外での学会発表の費用を捻出するために申請したものである。
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Causes of Carryover |
オープンアクセスの論文を発表するための費用と海外の学会での成果発表のための費用、およびさらなる実験のための費用を捻出するために、研究期間を1年延長したために次年度使用額を残している。2024年度はこれらの目的に使用する。
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