2021 Fiscal Year Research-status Report
Non-equilibrium CO2 reduction by plasma catalysis: fast synthesis of methanol
Project/Area Number |
21K18615
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
野崎 智洋 東京工業大学, 工学院, 教授 (90283283)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | プラズマ化学 / プラズマ触媒 / カーボンリサイクル / 炭素循環 / カーボンニュートラル / 二酸化炭素 / メタノール / メタン |
Outline of Annual Research Achievements |
メタノール合成に用いる高活性触媒としてCuZn/Al2O3合金触媒を用い,誘電体バリア放電(DBD, Dielectric Barrier Discharge)の組み合わせによる反応促進効果を確認するとともに反応機構を明らかにした。DBDを照射したまま赤外吸収分光分析が可能な装置を新たに開発し,熱反応とプラズマ反応による表面化学種の違いを同定した。熱反応では,CO2とH2の混合ガス(H2/CO2 = 3)を流通させると炭酸塩(CO3*)の形成を確認できた。常温から500℃まで昇温すると炭酸塩のピークがわずかに増加したが,それ以外の変化はなかった。しかし,DBDを作用させると炭酸塩のピーク強度が顕著に強くなるとともに,ギ酸塩(formate:HCOO)の形成を確認できた。これらのピークは触媒温度に対して大きな変化を示し,この点も熱反応と明らかに異なる挙動を示した。CO2とH2を単独で交互に流通させて同様の実験を行った。H2をプラズマで励起するとCuに吸着したCu-Hに起因するブロードなピークが顕在化した。Hが吸着するとCuZnの伝導体に電子を供与するためCuZnの自由電子が増加し,赤外長波長域でプラズモン共鳴により触媒の赤外吸収(ベースライン)が増大することが明らかになった。DBDがCO2を振動励起させることは当初から想定していたが,プラズマはH2も効果的に励起しており,その結果スピルオーバーを促進してCH3OHおよびCH4を生成することを初めて明らかにした。吸着種の振動信号を獲得できない場合でも,電荷移動によるプラズモン共鳴を利用した反応診断の可能性を示したことも重要な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたCu/Al2O3触媒に加え,CuZn/Al2O3を研究することでDBDによる顕著な反応促進効果を確認した。一般に,CO2の活性化が律速過程と考えられている。プラズマはCO2を振動励起することで律速過程を促進するが,さらに水素の活性化がスピルオーバーを促進することを赤外吸収分光により確認した。これは,我々が独自に開発したオペランド赤外吸収分光法により初めて明らかになったものである。通常,吸着した化学種の振動分光により反応種を同定するが,本研究では触媒材料のプラズモン共鳴を利用する方法で活性種を同定したことも大きな成果である。水素のスピルオーバーの速度は速くダイナミックな反応であるからex situで同定することはできない。研究が大きく進展したため,当初予定していた研究に加えて担体効果を調べる実験を実施した。ZnOにプラズマを作用させると,励起CO2により酸素欠損が生じ,これが活性点となりCO2をCまで分解してメタネーション反応が生じることを突き止めた。炭素の水素化は,CuZnと同様にプラズマによる水素スピルオーバーの促進効果であることも検証した。この研究成果は国際会議で発表し,Best Presentation Awardを受賞した(T Nozaki et al: Mechanism study on plasma-activated CO2 hydrogenation over Pd2Ga/SiO2, ISPlasma2022/IC-PLANTS2022, March 6-11, 2022)。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は2つのテーマで研究を実施する。(1) DBDが作用した状態で吸着種の同定およびその反応挙動を計測するoperando赤外吸収分光分析を発展させCO2およびH2それぞれの寄与を分離して評価する。プラズマで促進される水素スピルオーバーと,メタノールの前駆体であるフォルメートの生成と分解挙動の因果関係を明らかにする。(2)振動励起CO2を生成する際,効率が高い高周波プラズマ(100kHz以上)を適用する。高周波CO2プラズマを触媒に作用させ,Eley-Rideal機構の顕在化,およびメタノール合成速度の向上を実現する。同様にH2励起の効果も定量的に評価する。メタノール合成マップに反応機構に基づく裏付けを与えることで,異なるプラズマ,異なる触媒に対して高速メタノール合成を実現するための道筋を示す。赤外吸収分光分析を適用してCO2振動温度を測定し,プラズマの非平衡状態を定量的に示すデータを取得する。メタノール合成には,プラズマ触媒で一般的に用いられる固定床プラズマ反応器に加え,流動層プラズマ反応器を適用してメタノール合成を実施する。前年度と同様,北海道大学・触媒化学研究所を訪問してCu/ZnO触媒以外の利用について検討する。
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Remarks |
※ Best Presentation Award 受賞(Dae-Yeong Kim, Shinya Furukawa, Tomohiro Nozaki, Mechanism study on plasma-activated CO2 hydrogenation over Pd2Ga/SiO2, ISPlasma2022/IC-PLANTS2022, March 6-11, 2022)
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Research Products
(34 results)
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[Journal Article] Functional nitrogen science based on plasma processing: Quantum devices, photocatalysts and activation of plant defense and immune systems2022
Author(s)
Toshiro Kaneko, Hiromitsu Kato, Hideaki Yamada, Muneaki Yamamoto, Tomoko Yoshida, Pankaj Attri, Kazunori Koga, Tomoyuki Murakami, Kazuyuki Kuchitsu, Sugihiro Ando, Yasuhiro Nishikawa, Kentaro Tomita, Ryo Ono, Tsuyohito Ito, Atsushi Ito, Koji Eriguchi, Tomohiro Nozaki, Takayoshi Tsutsumi, and Kenji Ishikawa
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Journal Title
Japanese Journal of Applied Physics
Volume: 61
Pages: SA0805(25pp)
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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