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2021 Fiscal Year Research-status Report

ユニバーサル型MICALの開発:超高感度CO2安定同位体比分析のテレアナリシス

Research Project

Project/Area Number 21K18653
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

石村 豊穂  京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (80422012)

Project Period (FY) 2021-07-09 – 2024-03-31
Keywords安定同位体 / 微量分析 / 炭酸塩 / 機器開発 / MCIAL / 有孔虫 / 耳石
Outline of Annual Research Achievements

炭酸塩(CaCO3)の炭素酸素安定同位体組成(d13C, d 18O)は形成時の水温や周辺環境の様子を同位体比として記録するため,過去60年以上にわたり古気候復元や地球環境変動解析の基盤ツールとして活用されてきた。しかし分析可能なサンプル量の限界から,我々が扱う研究対象の全てを環境指標として活用するには至っていなかった。この「分析技術の限界」という問題点を解決し,従来の1/100以下の炭酸塩(およびCO2)を高精度で分析できるシステムが MICAL(Ishimura et al, 2004, 2008)である。 MICALは,今日まで実現不可能だった高解像度の古環境解析や魚類の回遊履歴の解析など,新たな研究領域を切り開き続けてきた。しかしニーズが高まった結果,①共同研究に提供できるマシンタイムや人的資源の限界が課題となった。さらに②終焉の見えないコロナ過による人の往来の制限が生じ,技術提供が困難な状況に直面した。そこで解決策の一つとして,「人が行き来するのでは無く,機械が行き来すれば良い」という発想に至った。既存の制約を解除するための遠隔分析体制(テレアナリシス)の実現である。本研究の目的は, MICAL分析を汎用化するために,可搬型・省スペースの「MICAL-U」を開発し他機関での稼働実証を目指すことにある。そのために,各社安定同位体比質量分析計やレーザー分光安定同位体比分析装置にも接続可能なユニバーサルデザインの小型汎用装置の設計と構築を進める。同時に本研究ではMICALを用いた新規分野への応用研究も試行を続ける。本年度はMICAL-Uの設計と構築部材の調達作業を進めながら構築作業を推進した。しかしながら,世界的な物流停滞により一部の電子部品の調達に難航しており研究遂行に遅延が生じている。一方で,本年度行った応用研究を通じてMICAL-Uの高精度化へ向けた改良も進んだ。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

初年度にハードウェアの開発と稼働調整をおこない,2年目にかけて京都大の安定同位体比質量分析計(IRMS:IsoPrime社製)に接続しての機器のチューニングと制御システムの開発をおこなう予定であった。ガスクロマトグラフ(GC)併設の小型汎用微量炭酸塩安定同位体自動分析システム(MICAL-U:ユニバーサル接続型)の設計はほぼ完了し,構築部材の調達を進めた。主要機構の構築は進んでおり,制御系統の電子部品やソフトウェアの最適化を進める段階までたどり着いている。一方で,コロナ渦によって物流停滞や電子部品の供給停滞によって,制御システムに必要な電子部品が入手できない状況が続いている。現時点で生産体制の目処が立っていない部材もあり,MICAL-U構築の大きな制約となっている。さらに,連続フロー型質量分析に必須のヘリウムに関しても,世界的な生産体制の縮小と供給制限(ヘリウム危機)に陥り,今後の基礎実験の進捗に影響を与える可能性がある。その現状を踏まえてヘリウム制御系の見直しに着手している。

Strategy for Future Research Activity

引き続きハードウェアの開発と稼働調整をおこない,京都大の安定同位体比質量分析計(IRMS:IsoPrime社製)に接続しての機器のチューニングと制御システムの開発をおこなう予定である。なお,小型ガスクロマトグラフの性能検証には基礎実験が必須であり,時間がかかることが予想される。開発完了後は外部機関に対して数ヶ月単位の移設検証をおこない,検証作業と並行して問題点の洗い出しと,実際の他機関での運用プランの設計を目指す。得られた知見と成果は,テレアナリシスの一形態としても報告する。一方で,構築部材の調達に時間がかかっている問題とヘリウム不足の現状が長引くことが予想されており,今後の研究計画のさらなる遅延は避けられないものと考えている。しかしながらヘリウム使用量の軽減手法の開発や,MICALを用いた応用研究については既存のMICALを用いて実証実験も行うことが出来るので,MICAL-U開発と並行して重点課題として継続する。

Causes of Carryover

コロナ渦と国際情勢の悪化によって,(1)物流の停滞,(2)電子部品の生産体制への影響,が次年度使用額が生じた大きな理由である。例えば,機器を制御するためのデジタルアウトプットデバイスなどの電子製品は予約待ちの状態が半年以上続いており,未だ納品の目処は立っていない。2022年度の調達を目指して代替品の選定も並行してすすめている。

  • Research Products

    (10 results)

All 2021

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 1 results) Presentation (8 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 3 results)

  • [Journal Article] 極微量炭酸塩の高精度安定同位体比分析の実現:ナノグラム領域の新たな環境解析2021

    • Author(s)
      石村豊穂
    • Journal Title

      地球化学

      Volume: 55 Pages: 63-86

    • DOI

      10.14934/chikyukagaku.55.63

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 極微量炭酸塩の高精度安定同位体比分析の実現と応用研究の展開:環境解析から水産資源の保全まで2021

    • Author(s)
      石村豊穂
    • Journal Title

      ぶんせき

      Volume: 12 Pages: 703-710

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 耳石酸素安定同位体比の高解像度分析による日本海におけるマイワシの回遊経路の推定2021

    • Author(s)
      青野智哉, 坂本達也, 石村豊穂, 高橋素光, 林晃, 安田十也, 北島聡, 西田梢, 松浦隆義, 碇耀斗, 伊藤進一
    • Organizer
      水産海洋学会
  • [Presentation] 日本海におけるマイワシ新規加入群は複数の成育場から来遊する2021

    • Author(s)
      坂本達也, 髙橋素光, 白井厚太朗, 石村豊穂
    • Organizer
      水産海洋学会2021年度九州沖縄地区合同シンポジウム
  • [Presentation] 高解像度耳石d18O分析による東シナ海・日本海マアジの生育環境推定2021

    • Author(s)
      武藤大知, 坂本達也, 高橋素光, 北島 聡, 石村豊穂
    • Organizer
      水産海洋学会2021年度九州沖縄地区合同シンポジウム
  • [Presentation] 微化石・古環境学研究で知っておきたい安定同位体分析のこと2021

    • Author(s)
      石村豊穂
    • Organizer
      千葉大学セミナー 「地史古生物学研究に必要な素養を深める」
    • Invited
  • [Presentation] 両生類の微小骨組織に含まれる微量炭酸塩の安定同位体分析の実現:古生物の生態解明への応用をめざして2021

    • Author(s)
      服部竜士, 石村豊穂, 岩井紀子, 西田 梢, 白井厚太朗
    • Organizer
      日本古生物学会
  • [Presentation] 微量炭酸塩安定同位体分析技術の応用展開と新たな高解像度環境解析2021

    • Author(s)
      石村豊穂
    • Organizer
      JpGU2021
    • Invited
  • [Presentation] 極微量炭酸塩の高精度安定同位体比分析システムの開発と応用研究2021

    • Author(s)
      石村豊穂
    • Organizer
      生態研セミナー
    • Invited
  • [Presentation] Depth habitat of the late Eocene planktic foraminifers2021

    • Author(s)
      Kazuyoshi Moriya, Taku Oyama, Toyoho Ishimura
    • Organizer
      JpGU2021
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2022-12-28  

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