2021 Fiscal Year Research-status Report
Creation of Acoustic Resonance Imaging Technique and Challenge to Visualize the Quality of Thin Polymer Layers
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21K18664
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
燈明 泰成 東北大学, 工学研究科, 教授 (50374955)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 音響共鳴 / 超音波映像法 / 薄層 / 品質 / 密着性 / 塗装膜 / 高分子フィルム / 接着層 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 音響共鳴現象の理論モデルの構築 2つの異なる媒体間に薄層が挿入された超音波伝達系において、薄層の音響インピーダンス、膜厚に加え、媒体1と薄層との密着性、および媒体2と薄層とのそれを変数とし、媒体1/薄層/媒体2界面からと、媒体2裏面からの超音波エコー波形を予測する理論モデルを構築した。ここに前者では界面における音圧反射率が、後者では界面通過時の音圧往復透過率が周波数依存性を示し、共に共鳴周波数において極値を取ることを利用して、薄層がある場合とない場合のエコー波形の周波数成分の変化から目的に応じた変数を算出可能にした。 2. 音響共鳴映像システムの構築 所有する超音波映像装置の音響イメージと共にVTKファイル形式で保存されている波形を外部記憶媒体に取り込み、取り込んだ波形を周波数解析して振幅スペクトル比の極値と共鳴周波数とを記録するプログラムをPythonにて作成した。これにより項目1で構築した理論モデルから目的に応じた変数の2次元分布を表示することを可能にした。 3. 理論とシステムの実験検証 項目1で構築した理論モデルの妥当性を、項目2で構築したシステムを用いて検証した。はじめに半導体製造プロセスで重要なフォトレジスト膜がシリコン基板の表面にある場合について裏面エコーの音響イメージを取得し、これに含まれる全波形を信号処理して振幅スペクトル比の最大値と共鳴周波数の面情報を取得した。取得した最大振幅スペクトル比の面情報より音響インピーダンスの、また共鳴周波数のそれより膜厚の2次元分布を取得し、両者に製造工程に起因した揺らぎがあることを明らかにした。更にフォトレジスト膜が基板の裏面にある場合について裏面エコーの音響イメージを取得し、その共鳴周波数の面情報より算出した膜厚の2次元分布が先のそれと一致することを確認することで理論モデルの妥当性を実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載のとおり、申請時に計画した研究を遂行し、薄層の品質を可視化するための理論モデルと、音響共鳴映像法を実現するシステムを構築した。更に提案した手法によりシリコン基板上のフォトレジスト膜の音響インピーダンスや膜厚の2次元分布を取得することに成功するなど、進展は順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
構築した理論モデルと音響共鳴映像システムを駆使し、各種工業製品の品質を左右する塗装膜の膜厚を可視化すると共に、温度上昇に伴う高分子フィルムの結晶化過程を可視化することを試みる。更にアルミ板と高分子接着層との密着性を2次元的に定量評価することに挑戦する。
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Causes of Carryover |
当初、現有の超音波映像装置から外部に波形を出力するための超音波映像装置拡張費用(300千円)を計上していたが、検討の結果、オープンソースプログラム(ParaView)等を活用して目的が達成できることが明らかとなった。次年度使用額が生じた主な理由はこの拡張費用が不要となったためであり、この分の費用は信号処理を高速化するためのメモリ拡張費用等に充てる。
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Research Products
(3 results)