2021 Fiscal Year Research-status Report
記号力学に基づく非線形時系列解析を用いた、乱流の新しい解析手法構築と制御への挑戦
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21K18685
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
守 裕也 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (80706383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤田 浩 東京理科大学, 工学部機械工学科, 教授 (00434712)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 乱流の非線形予測 / 記号力学 / 時系列解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
流体輸送機器におけるエネルギー損失は乱流が一つの原因である.抵抗を減らすには乱流低減が必要であるが、その強い非線形性により予測し制御することは難しい.例え何らかの制御が効いたとしても、従来の研究が線形ベースの解析手法を用いているため本質的なメカニズムが不明である場合も多い。一方、近年進歩が著しい複雑系科学分野では、情報量という視点から見た非線形現象の解析が盛んである。情報量は、乱雑さを測る尺度である情報エントロピーを用いて定量的に評価されるため、複雑な時系列の波形を持つ乱流の解析に適しているはずである。そこで本研究ではこれまで線形理論に基づいて解析されてきた乱流場を、記号力学に基づく非線形時系列解析により調査し、さらに予測及び制御手法を構築することを目的とする.非線形性を考慮に入れた情報量を用いることで、乱流予測や制御の研究分野を大きく転換させる潜在性を有している。そもそも乱流の本質は強い非線形性であり、解析手法も非線形性を考慮に入れるのは自然である。しかし非線形性を考慮に入れた解析はこれまでに多く実施されておらず、本研究は芽生え期の研究に当たる.
本年度は平行平板間乱流の順列エントロピーの空間分布を得た. 順列エントロピーの空間分布から, 平行平板間乱流の粘性底層, バッファー層, 外層のダイナックスの一端を明らかにしている. また, 順列パターンの確率分布とその非対称性に着目した複雑度解析から, これまでに明らかにされていない新たな時間スケールの抽出も可能にした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、流体力学的にカノニカルな系である平行平板間乱流の時系列解析を行い、非線形予測法を適用した。得られた結果は未知の乱流時間スケールの存在及び乱流の時系列予測の可能性を示唆しており、本研究における最終的な目的に役立つ。従って、現在までで研究の達成度は「おおむね順調」であると考えている
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度においては、令和2年度に得られたでデータについてより詳細な調査を行う。すなわちこれまで得られた知見を元にして理論的な考察及び制御に関する展開へと検討を行う.
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Causes of Carryover |
コロナ禍により国際学会などが中止となり当初の計画より変更が生じた。令和4年度において開かれる学会に参加することで使用する。また物品費等についても 計算機の購入などに使用する予定である。
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