2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K18689
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩井 裕 京都大学, 工学研究科, 教授 (00314229)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 改質 / 混合燃料 / 固体酸化物形燃料電池 / 燃料極 / 実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの検討により、燃料極として実際に使用されるNi-YSZとNi-GDCの多孔質体に混合ガスを供給した場合の改質反応についての基礎データが十分に蓄積された。これを受けて、電解質層と空気極まで含めた小型セルに混合ガスを供給した場合のセル起電力やセルの電気化学特性の測定・評価を実施した。まずメタン改質やアンモニア分解の活性が異なる燃料極を持つ3種類の実験セルを作製した。これに加湿メタン アンモニア 混合ガスを直接供給し、排出ガス組成と開回路電圧(OCV)の測定を行った。その結果、排出ガス中の水素収量とOCVに正の相関があり、排出ガス組成をもとに計算された水素酸化反応による理論起電力とOCVの傾向が一致した。これは混合ガスにおける電気化学反応においては改質・分解から生成された水素の酸化反応が主反応であることを示唆するものである。次に,改質・分解の反応進行度が異なる混合ガスを実験セルに供給し,電気化学特性の測定を行った。比較対象として加湿メタンあるいはアンモニアの単一ガスを供給する実験も併せて実施した。その結果、混合ガスではアンモニア分解反応がメタン水蒸気改質反応よりも優先的に進行し、生成された水素の酸化反応が電気化学反応の主反応として進行することが明らかになった。さらに燃料極支持セルの燃料極支持体内で増モル反応である改質反応が進行した場合の全圧勾配の影響についてガス輸送-反応連成数値解析により検討したところ、改質反応による全圧勾配がセル性能に影響は限定的であることがわかった。 本研究を通じて、混合燃料を用いることによる新たなセル温度制御手法の実現性を示すとともに、セル性能予測に必用なOCVの予測手法も確立し、さらにボタンセルによる基礎的な発電性能も取得することができた。メタンとアンモニアの組み合わせに限らず、広く混合ガス燃料を直接供給するSOFCの検討が進むことが期待される。
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