2021 Fiscal Year Research-status Report
水処理システムにおける有機窒素化合物の網羅的モニタリング法の開発
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21K18753
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
児玉谷 仁 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (30434468)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 水処理 / 紫外線照射 / 硝酸イオン / ペルオキシナイトライト / ルミノール化学発光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,水中に存在する有機窒素化合物を紫外線照射により硝酸イオンまで酸化し、さらに硝酸イオンへの紫外線照射から、強い酸化力を持つペルオキシナイトライトを生成させ、ペルオキシナイトライトの高感度検出法として知られるルミノール化学発光検出法と組み合わせることで、窒素原子を含む化合物を高感度検出する手法の確立を目的としている。 本年度は、硝酸イオンからペルオキシナイトライトへの変換について共存物質の影響、紫外線照射時のpHの影響などを確認した。特にハロゲンイオンの存在が変換率を低下させることを確認した。これらの結果を元に硝酸イオン・亜硝酸イオン測定法(イオンクロマトグラフィーオンライン紫外線照射ルミノール化学発光検出法)を確立し、海水中の硝酸イオン、亜硝酸イオン測定に利用した。 また、アルキルアミン類、尿素、硝酸エステル類を試料として、紫外線照射によるペルオキシナイトライトへの変換について評価を進めた。ペルオキシナイトライトへの変換率は尿素で約20%、ジメチルアミンで約10%となり、分子内の窒素原子数に対応した変換率が得られている可能性が確認された。 ペルオキシナイトライトへの変換率を検討した有機窒素化合物の中で、硝酸メチルが高度水処理プラントにおいて処理された再生水に存在していることが報告されていることから、硝酸メチルについて先行して測定法の確立を進めた。結果、硝酸メチルへの紫外線照射により8%ほどがペルオキシナイトライトに変換されることを確認し、他測定条件を最適化したところ、sub-nMの硝酸メチルの測定が可能な測定法を確立できた。今後、水処理プラントで得られた試料水の測定を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究のベースとなる高感度硝酸イオン測定法について、論文化するために海水実試料の測定など関連データの取得を進めたが、この実験に予定していたより時間がかかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
尿素およびアルキルアミン類について、照射する紫外線波長、溶液pHなどを変化させてペルオキシナイトライトへの変換を評価する。特に紫外線照射にはテフロンチューブを用いてきたが、紫外線透過率が問題となるため、装置のセミミクロ化により石英キャピラリーなどの使用が可能な環境にして評価を進める。変換条件を最適化して、尿素およびアルキルアミンの測定法を確立する。
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