2021 Fiscal Year Research-status Report
構造・平面構成・住まい方の制御による世帯目線の土砂災害死者軽減方策の構築
Project/Area Number |
21K18757
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中嶋 唯貴 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (60557841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小篠 隆生 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (00250473)
植松 武是 北海学園大学, 工学部, 教授 (60462347)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 土砂災害 / 建物倒壊メカニズム / 人的被害 / 生存可能空間 / 土砂速度 / 個別要素法 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国の人口の5%もの住民が土砂災害警戒区域に住居があり、斜面改良など多額の費用が掛かる対策を全エリアに実施するのは不可能であり新たな対策の検討が急務である。本年度は、土砂災害における人的被害発生家屋の倒壊状況の把握と土砂による住居内における生存可能な空間の損失率の調査と評価を実施する。土砂災害に伴う被災建物の実態を2004年新潟県中越地震、2018年北海道胆振東部地震、令和元年台風19号、令和2年九州豪雨における資料の掘り起こし並びに調査を実施した。加えて、2018年胆振東部地震において2階部の死亡率が一階部に比べ明らかに小さいことから、胆振東部地震で得られた写真を再現できるよう個別要素法で建物と土砂災害を再現し、建物に、速度、土砂厚さを変更しながら倒壊メカニズムと生存空間の変化に着目し検討を実施した。結果、2階部の生存空間を担保するためには一階が倒壊した場合において2階部落下の衝撃に耐える必要があり、2階部の剛性が重要となることが判明した。しかしながら、土砂厚さが2階床を超えるとほぼすべてのケースで建物は1階2階とも倒壊し、2階部の生存可能空間は完全に損失する結果となった。このことより、胆振東部地震のケースとは異なり、土砂が2階部床の高さを超えると2階部においても死亡率が高くなることが危惧される。今後は、土砂災害警戒区域における住宅の居室構成や敷地内における建築場所を調査し個別要素法で再現することで、生存空間に与える影響をより詳細に検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標であった、土砂災害に伴う被害情報の収集と個別要素法による土砂災害発生時の建物倒壊モデルの構築を実施した。個別要素法による1階2階の倒壊メカニズムをシミュレーションにより検討可能になったことに加え、倒壊時2階の耐力により生存確率が変化することが判明した。また、土砂高さが二階床を超える場合には耐力を向上させても倒壊する可能性が高いことも判明した。次年度以降調査予定の特別警戒区域における建物も本年構築した個別要素法プログラムによりシミュレーションが可能となっており、研究の進捗状況はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、実際の木造家屋がどの程度で破壊するのか実験で確認するとともに、土砂災害危険エリアで敷地内の住宅建設場所や室内配置等をアンケート調査することで現在の土砂災害危険エリアの住宅の情報を収集し、個別要素法で回答者の建物を再現し、土砂災害危険度のシミュレーションを実施することで、土砂災害危険度の高い住宅の生存空間の損失率の検討を実施する。
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Causes of Carryover |
次年度、実施予定の構造実験の消耗品と土砂災害地域危険度地域へのアンケート実施のためのアンケート印刷費として使用する。また成果がでしだい論文としてまとめる。そのための投稿料として使用する。
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