2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K18791
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
後藤 浩之 京都大学, 防災研究所, 教授 (70452323)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
Keywords | 深層学習 / リアルタイム予測 / 地震動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は,地震発生時に各地の揺れ(地震動)をリアルタイム予測する新しい方法論を提案するものである.揺れが到達する前に地震動が予測できれば,様々な形の新しい地震防災技術への応用が期待できる.本研究目的を達成するために,機械学習の一つである深層学習を利用する.多数の地震計を一時的に展開して十分な数の地震記録を収集する.続いて,常設の地震観測所で得られた地震記録を入力とし,臨時で設置した地震計の記録を出力とする深層学習モデルを,大量の地震記録に基づいて学習させる.十分に学習の進んだ深層学習モデルを用いれば,時々刻々と記録される揺れから各地の揺れをリアルタイム予測することが実現できる.
これまで検討を進めてきた中で重要な課題が明らかとなった.地震動という過渡的な時系列データを深層学習で再現するためには,地震記録と地震計密度がかなり充実しないと情報として不足するというものである.そこで令和5年は,地震動が波動方程式に従うことを物理モデルとして陽に入れるため,PINNsによる深層学習モデルについて検討を行った.2次元波動場を対象とした検討ではあるが,地震計が現実的な間隔に配置されていたとしても,その間を自然に空間補間するような地震動を推定できることが示された.震源直上の地震記録がなくとも,観測記録よりも大きな地震動を再現できるという重要な結果が得られた.一方,PINNsはリアルタイム性に乏しく,現在のフレームワークでは緊急地震速報のレベルで実現できないこともわかり,当初の目的のような揺れをリアルタイム予測するためには,さらなるブレイクスルーが必要であることもわかった.
|