2022 Fiscal Year Research-status Report
埋もれた地震波形記録の発掘 -地震計による将来の斜面崩壊の自動検知に向けて-
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21K18792
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
土井 一生 京都大学, 防災研究所, 助教 (00572976)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 地すべり / 地震動 / 連続地震波形記録 |
Outline of Annual Research Achievements |
地震計によってどのような斜面崩壊が記録されうるかについて明らかにするため、昨年度に引き続き斜面崩壊の事例収集をおこなった。本年度は昨年度よりさらに2007年までさかのぼり全国紙、地方紙の新聞記事を検索した。また、地すべり学会誌や砂防学会誌に記載がある斜面崩壊についても事例収集をおこなった。昨年度と同様におおよその発生時刻と規模が分かっている事例を抽出した。 続いて規模が大きいもの10事例について地震波形記録を収集し、波形の形状やランニングスペクトルを調べ、既往研究において指摘されている地震波形の特徴を持つ波形が含まれているかどうか、走時や振幅によって震源が決定されうるかなどを調べ、昨年度の結果に追加した。 昨年度の結果においては、崩壊体積がほぼ同様であっても、地震計によって検知される範囲が振幅の大きさが異なる事例が見られたが、本年度新たに解析した斜面崩壊についても同様の現象が見られた。このような現象がどのように引き起こされるのか、崩壊の発生メカニズムや正確な崩壊体積を見積もるために、本年度は一部の崩壊斜面において測量や地質調査などの現地調査をおこなった。調査結果からは、まだ地震動の大きさと斜面崩壊の発生形態や崩壊体積との関係をはっきりと説明できるメカニズムは分かっていないが、引き続き同様の調査を実施することで、斜面の地形・地質的な特徴や変形の形態と地震動の特徴を特徴づける関係性について明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画で想定した新聞記事に加え、専門誌の事例検索も追加して利用して広く斜面崩壊のリストアップがおこなった結果、網羅的な解析につながっただけでなく、地震動を励起した斜面崩壊を数多く収集することができた。また、収集した事例についての現地調査も開始した。来年度も継続することで一定の統計的な関係性を導くことが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き新聞記事や専門誌などにおいて斜面崩壊を事例収集を進める。また、収集した事例に対し地震波形記録の解析をおこない、振幅や卓越周波数、継続時間などの特徴を整理する。さらに、同じ崩壊体積規模、同じ震源距離の条件で、振幅が大きな斜面崩壊、小さな斜面崩壊が検知された場合は、現地調査を実施し、崩壊体積の正確な把握を進めるとともに崩壊発生形態について考察する。これらの結果を総括して、斜面の地形・地質的な特徴や変形の形態と地震動の特徴を特徴づける関係性について明らかにする。
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Causes of Carryover |
本研究は、文献調査等による斜面崩壊事例の収集、地震波形解析、現地調査による斜面崩壊の詳細な理解を通じた地震波形の特徴の解釈、の主に3つのセクションから構成されている。前年度には、新型コロナウィルスの感染拡大のため、緊急事態宣言やまん延防止措置が京都府等に適用されていた期間が長く、現地調査が計画通り実施できなかったが、本年度から開始した。しかしながら、予定していた現地調査のすべてが実施できていない状況にあるため、予算との差額が生じた。本年度については、ほぼ新型コロナウィルスの影響はないことが想定されるため、未実施の現地調査も含めて進めていく予定である。
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Research Products
(2 results)