2021 Fiscal Year Research-status Report
Real time imaging of thin water layer formation using polarization camera
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21K18797
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伏見 公志 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (20271645)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | エリプソメトリー / イメージング / 膜厚像 |
Outline of Annual Research Achievements |
4角度偏光子を搭載した偏光カメラを検出器とするPSAR型エリプソメーターを作製した。試料は各種鏡面金属であり、温度湿度制御した光学窓付き試料室内に設置した。単色光源としてレーザーを用いた。ポーララーザー(グランテーラープリズム)にて直線偏光とした単色光を試料表面に照射し、表面膜により楕円化した反射偏光の偏光状態(偏光度Ψおよび位相差Δ)を観察できるように設計した。画像データとして得た偏光状態を行列式(L_out = R(-a)AR(a)SR(-p)PR(p)L_in)に代入し、試料表面の水膜厚さ分布像を高速で、すなわち環境条件変化とほぼ同時に取得することを目的とした。なお、L_inおよびL_outは入射および検出した光のストークスベクトル、R, P, A, Sはそれぞれ回転子、偏光子、検光子および試料のミュラー行列、pとaは偏光子と検光子の回転角度である。カラー偏光カメラにおいてa=0, 45, 90, 135°が設定されていることから、機械的な回転光学素子を使わないで、反射偏光のΨとΔを試料表面(素地、薄膜、環境)の光学定数と薄膜の厚さの関数として求めることができるようにした。従来型のイメージングエリプソメトリーは単色光源であったために、ΨとΔの関係から膜厚を求める解析の際に不都合があったが、本研究では3波長(445、532、633 nm)の同時使用により、膜厚の解析の精度を大幅に向上させた。
本年度は上述を実現するためのリアルタイムイメージングエリプソメーターの開発とSiO2薄膜試料を用いた校正を重点的に実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
三波長(445、532、633 nm)分のストークスパラメーター像をフレームレート:22fps、有効画素数:512×612px(平面分解能:0.86μm×0.86μm)にて撮影可能なイメージングエリプソメーターを作製した。波長:445、532、633 nmの各レーザー光を同軸上に合成し、偏光解消素子と偏光子により直線偏光としてから試料表面に入射角60°で照射、反射した楕円偏光像を補償子とテレセントリックレンズを介してカラー偏光カメラにより撮影可能とした。ストークスパラメーター像の撮影、RGB像への分割、Ψ-Δの計算、および膜厚算出のすべてを一括して行うプログラムを作製した。 SiO2皮膜を標準試料とし、エリプソメトリーの校正を試みた。Ψ-Δ曲線からの膜厚の導出方法の異なる二つの方法を検討した。512×612px分の膜厚像を求めるのに要した時間はそれぞれ80sと30sであったが、後者は光学系のわずかなずれから生じるモアレを解消することは難しいが、前者ではモアレの影響を受けない高精度な膜厚像を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)模擬飛来塩粒子が付着した炭素鋼表面に形成する水溶液薄膜の観察と解析 各種塩水溶液のエアロゾルに曝すことにより炭素鋼表面に異なる量の塩微粒子を付着させ、温度湿度制御した大気環境中における水溶液薄膜成長・変化のその場観察を実施する。主な試料として炭素鋼を用いるが、比較材としてAuやNaCl結晶なども検討する。また、付着塩にはNaClの他、MgCl2、CaCl2、およびこれらの複合塩も対象とする。温度は室温一定とするが、相対湿度は可能な限り広範囲とし、特に各塩の潮解湿度の前後において繰り返し制御する。これらより付着塩微粒子が大気中の水蒸気を吸湿し潮解する過程、さらに水膜を形成する過程および腐食生成物を形成する過程の詳細な解析を試みる。 2)金属のアノード酸化により形成する不働態薄膜の観察 水溶液中、多結晶体金属をアノード酸化する際に形成する表面酸化物皮膜のその場観察に適用する。下地金属の結晶方位依存性の他、ハロゲン化物イオンの添加により脱不働態化する過程のその場観察を実施し、孔食発生位置および発生機構の解析を試みる。
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Causes of Carryover |
予定していた出張が取りやめとなり、旅費が浮いた。また、一部購入予定物品が変更となったため。
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Research Products
(3 results)