2022 Fiscal Year Annual Research Report
液中原子分解能AFM探針の革新:分子精密設計および単分子評価によるアプローチ
Project/Area Number |
21K18871
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
淺川 雅 金沢大学, ナノマテリアル研究所, 准教授 (90509605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古山 渓行 金沢大学, 物質化学系, 准教授 (30584528)
雲林院 宏 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (40519352)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 原子間力顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでAFM探針の先端に固定化する剛直骨格分子をグラファイト基板上に自己組織化で配列させて、分子探針として使用するために重要な揺らぎ・変形に関する性質を周波数変調AFMおよび3次元走査型AFMで単一分子スケール評価を行ってきた。グラファイト基板上に配列しない分子に関しては、単結晶を調製し、それを接着剤で固定化することで単一分子スケール評価を実現する手法を確立した。 さらにSi製の探針先端への固定化を目指したカップリング反応を検討した。具体的にはSi表面へはシラノールやリン酸基の縮合反応やAu蒸着後のチオールによる固定化を検討した。さらにヒュスゲン環化付加に代表されるクリックケミストリー分野で報告されているクロスカップリング反応によって再現性良く剛直分子を固定化することを検討した。基板上への固定化量、固定化位置はX線光電子分光法(XPS)や自作AFMで実施することができた。AFMによるフォースカーブ測定では、クロスカップリングの反応時間の経過に伴い力変化のばらつきが 小さくなるという現象が観察され、これは分子内に存在するカップリング反応点が順番に反応している様子を検出できた可能性がある。この現象は当初予測していなかったが、分子探針の固定化の評価にも高分解能AFMが有用であることを示すことができた。 探針先端の評価には蛍光分子のdefocused imagingを検討した。高輝度・高安定の蛍光分子を選択、固定化したことろ、物理吸着させた蛍光分子と比較して、分子探針先端に固定化した蛍光分子のダイナミクス(回転・配向変化)が低下し、高い配向性を示すことが分かった。以上のように、分子探針の設計・固定化方法およびその評価方法まで必要となる手順を確立することができた。
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