2021 Fiscal Year Research-status Report
Study of antiferromagnetic spin-mechatronics
Project/Area Number |
21K18890
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塩見 雄毅 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (10633969)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | スピンメカニクス / 反強磁性体 / 圧磁気効果 / スピン流 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年のスピントロニクス分野において、漏れ磁場がなく超高密度記憶素子の実現が可能な反強磁性体材料が注目を集めている(反強磁性スピントロニクス)。本研究では、反強磁性スピントロニクスに力学機能を初めて追加し、反強磁性スピンメカトロニクスを開拓する。具体的には、スピン角運動量の流れであるスピン流によって反強磁性体の変形を引き起こす、あるいはその逆効果として、反強磁性体の変形によりスピン流輸送を変調することを目指す。提案する動作原理は圧磁気効果(ピエゾ磁気効果)に基づき、低対称の反強磁性体におけるスピン蓄積と歪みの相関応答を利用する。この動作原理は、従来の強磁性体におけるスピンメカトロニクス機能の原理であるスピン角運動量の格子系への緩和とは全く異なり、物質開発により巨大化が狙える。古い歴史をもつが研究例の少ない圧磁気効果を最先端のスピントロニクス技術を用いて研究することで、圧磁気効果に関する基礎研究の発展も期待できる。 今年度はスピン流によって反強磁性体を変形させることを目指して、FIBを用いて典型的な室温圧磁気効果物質α-Fe2O3をカンチレバー形状に加工した。カンチレバーの共振を利用することで、スピン流注入による変形を高感度に検出できると期待されるからである。しかしながら加工が難しく、良好な共振特性を示すカンチレバーは作製できなかった。そこで、逆効果の観測を目指し、反強磁性体試料に一軸歪みを印加して変形させたときのスピン流特性を計測できる測定系を構築した。来年度は構築した測定系を用いて変形によるスピン流応答の変調の観測を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的の達成に向けて順調に進展している。研究を進める過程で、本課題で構築した測定系を用いた新しい研究テーマも見えてきており、予想以上の研究展開が期待できる状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、今年度に引き続き、試料の変形によるスピン流応答の変調の観測を目指し、研究目的を達成する。
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Causes of Carryover |
コロナの影響等で納期が予定より遅れる備品が出ているが、研究遂行に大きな影響はない。また参加する学会等がオンラインになったことにより旅費の支出も計画より減った。
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