2021 Fiscal Year Research-status Report
光コムのオフセット周波数を用いた偏光状態の精密計測
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21K18914
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
大久保 章 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (30635800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩國 加奈 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 助教 (80837047)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 光周波数コム / モード同期レーザー / ファイバーレーザー / デュアルコムレーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
キャリアエンベロープオフセット周波数差を用いた偏光状態の計測を検証するために、偏波多重による偏波保持型デュアルコムレーザーを開発し、デュアルモード同期に成功した。モード同期機構には非線形増幅ループミラーを採用し、モード同期のスタートを助けるために、ファラデーローテータと傾けた1/2波長版で校正される非相反位相シフターを組み込んだ。また、2つのモード同期の繰り返し周波数差の調整および高速制御ができるように、レーザー共振器内に電気光学変調器とディレイステージを組み込んだ。繰り返し周波数差116 kHzの時、繰り返し周波数信号のパワーで評価した2つのモード同期のクロストークは約-50 dBだった。また、レーザー共振器は温度制御されていないにもかかわらず、5000秒間の繰り返し周波数差の変動は、標準偏差0.75 Hz、1秒のアラン偏差0.025 Hz程度と安定であることが確認された。これらの成果をConference on Lasers and Electro-Optics Pacific Rim (CLEO-PR) 2022に投稿し、口頭発表でアクセプトされた。
一方で、モード同期が時折不安定になる様子も観測されている。これは残留クロストークが原因と考えれ、光学系の消光比を改善するなどの対策を取る必要がある。今後は、開発したデュアルコムレーザーの安定性を高めたうえで、オフセット周波数検出とオフセット周波数差を用いた偏光計測を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
偏波多重による非線形ループミラー型デュアルコムレーザーを開発し、デュアルモード同期に成功した。2つのモード同期パルスの繰り返し周波数は59 MHz、繰り返し周波数差は116 kHzで、発振スペクトル帯域もほぼ重なっていた。繰り返し周波数差の安定度は、レーザー共振器の温度制御なしで1秒のアラン偏差が0.025 Hzと安定であることが確認できた。以上、キャリアエンベロープオフセット周波数差を用いた偏光状態の計測を検証するためのデュアルコムレーザー開発は、順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
現状では、偏波間クロストークの影響によりモード同期が不安定になると考えられるため、まずはレーザー共振器の消光比の状態を精査し、可能な限り改善する。それによってモード同期の安定性が改善された場合は、偏波多重NALM型デュアルコムレーザーとしては初めてのキャリアエンベロープオフセット周波数(fCEO)信号の検出を目指す。一方で、消光比を改善してもクロストークの影響が残る場合は、偏波多重型デュアルコムレーザーではなくメカニカル共有型デュアルコムレーザーに切り替え、fCEO信号の検出を進める。また、fCEOの差を用いた偏光計測の実証実験に向けた準備を進める。
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Causes of Carryover |
デュアルコムレーザー開発が順調に進んだことによち、試行錯誤で使用すると見込んでいた部品の一部を次年度の開発・改良の段階で調達・使用することにしたため、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(1 results)