2021 Fiscal Year Research-status Report
表面プラズモン効果との融合による一重項分裂のパラダイムシフト
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21K19011
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
羽會部 卓 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (70418698)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 一重項分裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
一重項分裂(SF)とは近接した二分子間で一光子の吸収過程から相関の強い三重項対(TT)を介して二つの三重項励起子(T1 + T1)を生成する多励起子生成反応である。三重項収率ΦTは最大200%のため光エネルギー変換利用が大いに期待されている。しかしながら、最低励起一重項状態(S1)のエネルギーE(S1)と三重項状態のE(T1)の間のE(S1) > 2E(T1)というエネルギー適合条件がSF分子には必須であり、これを満たす分子は非常に限られている。本研究では表面プラズモン共鳴とSFを共役させることではE(S1) > 2E(T1)の縛りのないSF等をめざして以下の研究を行った。 まず、上述のエネルギー適合条件の縛りのないSF材料としてアセン系分子のアントラセンに着目して、2つのアントラセンをフェニル基(スペーサー)で連結した各種二量体の合成を行った。時間分解分光測定の結果、概ねSFとその逆反応の三重項-三重項消滅(TTA)の競争反応が確認できた。次に、ペンタセン修飾量子ドットでは表面被覆率の高いペンタセン分子集合体の構築に成功した。時間分解分光測定では量子ドットからペンタセンへの量論的な一重項ー一重項エネルギー移動を確認でき、その後SFに伴う三重項励起子の生成が観測された。以上のように、2021年度は表面プラズモン共鳴との共役を行うための材料合成に一貫して取り組み、基礎物性の検証に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で必要な異なるスペーサーで連結したアントラセン二量体やペンタセン修飾量子ドットの合成は既に終了しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
金属ナノ粒子と上記材料の共役させて、プラズモン効果に伴うエネルギー変換特性を検証する予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度にアントラセン二量体の一連の化合物合成は終了したが、一重項分裂の特性についてより高効率化を目指す上でどうしてももう一種類合成が必要となり、その試薬代として用いるため。
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Research Products
(7 results)