2021 Fiscal Year Research-status Report
ヒドリド伝導性電極を使ったCO2還元再資源化反応の開拓
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21K19017
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
青木 芳尚 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (50360475)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | ヒドリドイオン伝導体 / プロトン固体酸化物セル / CO2再資源化 |
Outline of Annual Research Achievements |
金属酸水素化物は、水素化物(H-)イオンの導電率と酸化還元活性の相乗効果により、電気化学エネルギー材料および触媒的材料として注目されている。一方で、多くの酸水素化物は過酷な調製条件と高温熱分解性により、エネルギーデバイスなどへの応用が制限される。本研究では、高いH-イオン電子混合導電率と、高温耐久性の高いペロブスカイト酸水素化物BaZr0.5In(II)0.5O2.25H0.5を発見した。母相であるBaZr0.5In(III)0.5O2.75は、大気圧下H2中で800°Cでアニーリングすると、In原子が還元され、また2つのIn間架橋O原子(O-InIn)の欠損とH-イオンを挿入が起こり、トポタクティック水素化反応を生じることがわかった。水素化に伴う格子収縮は非常に小さく(-0.05%)従ってBaZr0.5In0焼結体を破壊することなくバルク水素化し、BaZr0.5In(II)0.5O2.25H0.5緻密焼結体を作製することができる。このようにして多孔質Niサーメット支持体上に高密度のBaZr0.5In0.5O2.25H0.5薄膜をもつ膜デバイスを、簡単な焼結プロセスによって作製することができた。また得られたデバイスは、500°Cで10-3 S cm-2相当のH-イオン伝導率により顕著な水素透過性を示した。本研究で得られた材料は、セラミック電気化学セルの混合導電性電極および水素透過膜支持体への応用することで、H2O-CO2共電解プロセス、およびCO2再資源化プロセスの効率を飛躍的に向上させると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終目標は「H-イオン伝導を用いた電気化学デバイスの創成」である。この目標のためには、簡単な水素化手法で作成でき、且つ高温焼成を伴う焼き付け・成形プロセスに耐え得るH-イオン伝導性酸水素化物材料を開発する必要がある。本年度までの成果により電気化学デバイスの電極として利用可能なH-イオン伝導性酸水素化物BaZr0.5In(II)0.5O2.25H0.5(H-BZI)を得ることができた。この材料は以下の性質により、電気化学デバイスのH-イオン伝導性電極材料として有効といえる。 1. 酸化物母相BaZr0.5In(III)0.5O2.75(BZI)を水素加熱するだけで簡単に生成できる。またBZI⇒H-BZIの水素化反応に伴う格子定数変化は-0.05%以内のためBZI焼結体を、崩壊することなくそのままH-BZI焼結体に変化させられる。従って多孔質サーメット電極などを簡単に生成できる。 2. H-BZIは200℃以上で10-1 S cm-1に相当する伝導性を有し、且つ10-3 S cm-1相当のH-イオン伝導性を有する。従ってH-イオン伝導性電極材料として応用可能である。 以上から、本研究の目標に必須なH-イオン伝導性電極が得られたので、本計画はおおむね良好に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
H-BZIをカソードに用いたH2O-CO2共電解プロトンセラミックスデバイスを検討する。具体的にはH-BZI/Niサーメットをカソード支持体とし、その上にプロトン伝導セラミックスと水分解電極を積層したセルを作製し、グリーン水素とH-イオンの還元力を利用した電気化学CO2再資源化プロセスを開拓する。詳細を開発方針を以下に述べる 1.BZI緻密薄膜をNi/BZI多孔質サーメット上に積層した膜デバイスを作製する。この上にCo酸化物系電極層を積層し、セラミックスセルを作製する。 2.上記セラミックセルをその場リフォーミングすることで、H-BZI電気化学デバイスを形成する。前年度の進捗状況で述べた通り、Ni/BZIを水素過熱することで、Ni/H-BZIサーメットH-イオン伝導性電極を作製できる。更にBZIは加湿雰囲気では、プロトン伝導体であることが知られている。これらに基づき、1のセラミックスセルについて、Ni/BZIカソードに水素、およびCo-oxideアノードに水蒸気を供給し、プレフォーミングを行う。これによりカソード側のBZIがH-BZIに変換され、{H2, Ni/H-BZI(-) | BZI-film | Co-oxide(+), H2O}電気化学セルを得る。 3. 2より得たセルに基づき、{CO2, Ni/H-BZI(-) | BZI-film | Co-oxide(+), H2O}電気化学セルを構築する。これによりファラデー効率や、選択性などを調べていく。
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