2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of linker molecule that is cleaved in response to response to red light
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21K19051
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
難波 康祐 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 教授 (50414123)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 1,3a,6a-トリアザペンタレン / 光細胞障害活性 / がん光線治療 / フェロトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度では、種々の置換基を有する1,3a,6a-トリアザペンタレン(TAP)誘導体およそ20種類の光特性を調査した。その結果、2位にニトロフェニル基を有する誘導体がUV照射によって癌細胞を壊死させることを見出した。そこで種々のニトロ誘導体を合成しそれらの光細胞障害活性を調査したところ、優れた光細胞傷害活性を示す誘導体を見出すことに成功した。本誘導体は一部の癌細胞のみに選択的に取り込まれ、さらに光照射を行うまでは細胞毒性を示さなかった。すなわち、TAP誘導体が細胞内に取り込まれた後に光照射によってアポトーシスを引き起こす活性体へと変化した。また、細胞内に取り込まれた量と光細胞傷害活性は良い相関を示していた。さらに、その殺細胞メカニズムを調査したところ、高濃度ではアポトーシスを、低濃度でフェロトーシスを引き起こす珍しい誘導体であることが明らかとなった。本TAP誘導体は青色光でも活性を示すことが明らかとなっており、今後は共役系の伸長と電子求引基の導入によって吸収波長領域を超波長領域へとシフトさせていく予定である。 また、ニトロフェニル誘導体が細胞内での光照射によって活性体へと変化したことから、本誘導体を介して二つの分子を繋ぐことで、光照射によって二つの分子を切り離すリンカーとしても機能することが示唆された。現在の吸収波長領域は青色光域であるため、今後はTAPの光分解の反応機構を調査すると共に、吸収波長領域の超波長シフトを検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終的な目標であるがん光線治療の実用化に向けて、ガン細胞選択的に光細胞障害活性を示す誘導体を見出すことが出来た。TAPは置換基の種類に応じて波長領域を大幅に変化させることが知られている。既に可視光領域での活性発現を達成していることから、今後の置換基のスクリーニングによって長波長領域で活性を発現させる誘導体が見出されると期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
青色光で活性を示す誘導体の吸収波長領域を長波長へとシフトさせる検討を行なっていく。具体的には、2位のフェニル基をナフタレンやアントラアセンなどに変更し共役を伸長すると共に、強力な電子求引基を導入する。また、他分子と結合させるためのリンカー部位の導入も行なっていく。具体的には、2位フェニル基上に炭素鎖を介してエステルやアミンなどの官能基を導入し、またTAPの5位にも極性官能基の導入を行う。
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Causes of Carryover |
初年度は10月からの開始であったため、年度の前半に買い揃えた試薬等で実験を継続することができ、次年度使用額が生じた。2022年度からは本プロジェクトを担当する学生を増員するため、消耗品費等が大幅に増加することが予想される。このたため、次年度研究費と合わせて使用する計画である。
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Research Products
(34 results)