2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of linker molecule that is cleaved in response to response to red light
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21K19051
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
難波 康祐 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 教授 (50414123)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 1,3a,6a-トリアザペンタレン / 光応答型細胞毒性 / 癌光線治療 / 光応答リンカー分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
・365nmの光照射によりがん細胞の細胞死を誘導する1,3a,6a-トリアザペンタレン誘導体(ニトロフェニルTAP)を見出していたが、2022年度ではこの光誘導細胞死のメカニズムを明らかにした。すなわち、ニトロフェニルTAPは光照射によって活性酸素を発生させることを見出し、その活性酸素発生能は臨床現場で用いられているタラポルフィンナトリウムよりも強く、強力なROS発生剤として知られるRose Bengalと同程度であることを明らかにした。既存のROS発生色素の中でも、最もコンパクトな分子サイズを有する色素であることが分かった。また、高濃度ではアポトーシスを低濃度ではフェロトーシスを誘起することが見出され、光刺激によってフェロトーシスを誘導する初めての分子を創成することができた。 ・上記の1,3a,6a-トリアザペンタレン(TAP)は365nmの光照射で細胞毒性を示していたが、より長波長の吸収帯で同様の効果を示す誘導体の探索を行い、青色LED(468 nm)の照射によって強い細胞死を誘導するTAP誘導体を見出した。この知見を基に、DFT計算により600nm前後の領域で光誘導細胞毒性を示す誘導体を設計できた。次年度では、本誘導体の合成を早期に達成し、この知見を基に赤色領域で有効な誘導体へと展開する。 ・上記の長波長シフト誘導体の合成検討の中で、光照射により容易に分解する誘導体を幾つか見出した。本分解反応を利用することでリンカーとしての利用が可能となると期待できる。上記の長波長シフトした誘導体の探索検討において、長波長の光照射で分解する基質をリンカーとして利用する方法を探索していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光照射によって細胞死を誘導する誘導体を見出し、その細胞死のメカニズムを明らかにすることが出来た。またメカニズム検討によって、開発した誘導体が光照射によってフェロトーシスを誘起する分子であることを明らかにした。光照射でフェロトーシスを誘起できる分子は未だ報告例がないことから、新たな機能性分子の創成を達成した。また、吸収領域の長波長シフト化の検討も行い、今年度に可視光(青色)領域まで長波長シフトさせることに成功した。この検討によって、長波長シフトへの設計指針が得られたため、次年度では緑~赤色領域での吸収帯を持つ誘導体の作成が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度では可視光(青色)照射によって細胞死を誘導するTAP誘導体を開発した。この知見を基に、DFT計算により600nm付近で吸収極大を有する誘導体の設計を行なっており、次年度ではこれらの誘導体の合成を行う。実際に合成した誘導体が緑~赤色光の光照射によって細胞死を引き起こすかの検証を行うと共に、更なる長波長化の検討を行う。また、これらの検討において、長波長の光照射によって分解する誘導体が見出されれば、本誘導体の光切断型リンカーとしての利用へと展開する。
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Causes of Carryover |
一昨年(2021年度)にコロナの影響により研究を中断した時期が生じたため、使わなかった研究費を次年度に繰り越した。2022年度は予定通りの予算執行を行ったが、一昨年の繰り越し分が半分程度残った。翌年度分として請求した研究費と合わせて試薬・溶媒・ガラス器具等の物品費に使用する計画である。
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Research Products
(37 results)