2022 Fiscal Year Annual Research Report
既存モチーフ配列を有さない革新的テルペン合成酵素の探索研究
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21K19065
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
葛山 智久 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (30280952)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | テルペン / 生合成 / 環化酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、テルペン合成酵素TC2が基質であるGGPPを環化して生物活性物質Xを生合成することを明らかにした。しかしながら、種々、培養条件や発現宿主の検討、タンパク質結晶の作成に十分な精製酵素を得ることはできなった。そこで、AlphaFold2による構造予測を行うことにした。その結果、全体的にはテルペン環化酵素CotB2と似てはいるものの、CotB2には見られないベータシートを含む構造があることが分かった。TC2に加えて、新たなテルペン合成酵素を見出すためのモデルを作成することを試みた。より具体的には、Pfamで用いられるテルペン環化酵素ファミリーのモデルであるPF03936では見出されないような酵素の候補を見出すため、まずバクテリア由来テルペン環化酵素に最適化したモデルの構築を行なった。近年新たに同定された酵素を含めた110個の既知のバクテリア由来テルペン環化酵素の配列をすべて使用してアライメントを作成し、hmmbuildプログラムにより隠れマルコフモデル(HMM)の作成を行なった。こうして得られたモデルを用いて各種データベースに登録されているバクテリアのORFに対するhmmsearchを行なった結果、これまで見つかっていなかったテルペン環化酵素候補を収集することが可能となった。これらの中から、すでに同定されたテルペン環化酵素とは大きく異なる特性を有する酵素を見出すため、系統解析およびシーケンスシミラリティー解析を行なった。その結果、見出された4つのテルペン環化酵素候補について、大腸菌を用いて組換えタンパク質を調製し、GPP、FPP、GGPPの各種鎖長の基質と反応を試みた。その結果、一つの酵素については、GC/MS分析により新たな化合物の形成を確認することができた。今回新たに作成したHMMは、新たなテルペン環化酵素を見出すだめのモデルとして適しており、今後、さらに新たなテルペン環化酵素の発掘に利用できる。
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