2021 Fiscal Year Research-status Report
A novel anaerobic soil disinfestation using VFA-producing Clostridium
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21K19106
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
天知 誠吾 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 教授 (80323393)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 土壌還元消毒 / トマト萎凋病病原菌 / トマト青枯病菌 / 有機酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
エタノールを炭素源とした土壌還元消毒処理後のヤシ殻培地で優占していた細菌(E801株)の培養上清を、トマト萎凋病病原菌Fusarium oxysporum f. sp. lycopersici (Fol)に作用させたところ、酸性条件(pH4.0~4.5)で特に強い殺菌効果を示した。また、培養上清を加熱処理してもその効果は失われなかった。このことから、E801株が生成する何らかの有機酸が殺菌因子の1つと予想された。E801株は既知のClostridium kluyveriと同様、エタノールと酢酸から、鎖長伸長反応を経て酪酸とカプロン酸を生成することがわかった。そこで、Folを酢酸、酪酸、カプロン酸の存在下で培養したところ、カプロン酸でのみ顕著な殺菌効果が認められた。また、Folを接種したヤシ殻培地にカプロン酸のみを添加した場合も、顕著な殺菌効果が認められた。カプロン酸の殺菌効果は、トマト青枯病菌Ralstonia solanacearumにおいても顕著に認められた。以上のことから、Clostridium属細菌が生成するカプロン酸は、低濃度エタノールを炭素源とした土壌還元消毒において、殺菌因子の1つであることが強く示唆された。さらに、E801株の培養条件を検討することにより、最大で100 mM程度のカプロン酸を生産させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エタノールを炭素源とした際の土壌還元消毒において、中鎖脂肪酸の1種であるカプロン酸が殺菌因子の1つであることを示唆する結果を得られた。また、単離細菌E801株の培養条件を検討することで、最大100 mMという高濃度のカプロン酸を生産できた。以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
黒ボク土にカプロン酸を施与することにより、Folなどの植物病原菌を殺菌できるか検討を行う。また、カプロン酸ではなくE801株の施与により植物病原菌を殺菌できるかについても検討を行う。さらに、E801株によるカプロン酸生産条件の最適化を行い、E801株の培養液を直接土壌に施与することで土壌病害を防止できるか検討する。
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