2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K19189
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高島 康弘 京都大学, iPS細胞研究所, 准教授 (70469930)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
|
Keywords | ナイーブ型多能性幹細胞 / 8細胞期 / マーモセット |
Outline of Annual Research Achievements |
全能性(totipotency)とは、受精卵が有する個体を構成するすべての種類の細胞(胚体外細胞を含む)に分化することができる能力である。本研究では霊長類全能性細胞の樹立と分子機構の解明を目的とする。申請者は、ヒトナイーブ型多能性幹細胞(リセット細胞)を樹立することに成功した(Takashima et al. Cell 2014)。昨年度までにリセット細胞は栄養外胚葉に分化することを報告し、ヒトリセット細胞が広義の全能性としての能力を有する基礎データを得た。ヒトリセット細胞へ初期化され、全能性を獲得する過程の詳細を解析したところ、8細胞期様細胞集団が含まれることを見出した。またこれらの細胞を取り出し、実際遺伝子発現は8細胞期に似ていることが分かった。 本年度はリセット細胞から、効果的に8細胞期様細胞集団が出現する方法を見出した。ヒトリセット細胞から取り出した8細胞期様細胞集団の特徴を解析したところ、マウスの2細胞期で発現する遺伝子を認めた。例えば、マウスにおいて重要な遺伝子であるZSCAN4が8細胞期様細胞集団に発現していることを確認した。一方で8細胞期様細胞をナイーブ培地で培養するとリセット細胞になることも見出した。 またマーモセットにおけるナイーブ型誘導を行い、網羅的遺伝子発現解析を行ったところ、着床前エピブラストによく似た遺伝子発現を示した。さらに、ナイーブ型マーモセット多能性幹細胞においても、8細胞期様細胞が出現することが分かった。
|