2021 Fiscal Year Research-status Report
Experimental evaluation of the different evolution in photosynthetic regulation
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21K19258
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鹿内 利治 京都大学, 理学研究科, 教授 (70273852)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 光合成 / 電子伝達 / 変動光 / 光化学系Ⅰ / Flv / KEA3 |
Outline of Annual Research Achievements |
光合成電子伝達は、強光下では、チラコイドルーメンを酸性化し、シトクロムb6f複合体でのブレーキを掛ける。このことは、変動光下で、光化学系Ⅰを光阻害から護るのに重要である。KEA3は、チラコイド膜を介したプロトン濃度勾配を膜電位に変換することで、このブレーキを軽減する。しかし、同時に、光化学系Ⅰの光阻害をもたらす。一方、Flvは、光化学系Ⅰに蓄積する過剰な電子を汲み出すことで、光化学系Ⅰの光阻害を防ぐ。本研究では、KEA3とFlvを組み合わせることで、高速の電子伝達を行いながら、光化学系Ⅰの光阻害を起こさない植物が作出できるか検討した。 KEA3の大量発現株とFlv発現株、さらには、その二重組換え体を変動光下で栽培し、生育を調査した。コントロールとして、一日の総光照射量を同じにし、光強度を変動させず、栽培した(定常光)。その結果、Flv背景で、変動光下でのみ、植物の生育が、野生株を凌ぐことを明らかにした。また、変動光下では、Flv背景で、二酸化炭素固定速度が上昇することを明らかにした。その際、予想しなかったことに、Flv背景の植物では、気孔の開度が上昇していることが明らかになった。この効果は、定常光下では、見られなかた。変動光下で栽培すると、植物は、気孔の開度を減少させるが、この効果が、Flvによって軽減された。 また、生育光強度とあわせて、Dual-PAMによる電子伝達解析を行い、光化学系Iに大きな光阻害が起きていないことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FlvとKEA3を導入した植物が、変動光下で野生株を凌ぐ光合成を行うことを明らかにし、その成果を論文発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究では、Flvの光合成に対する正の効果を確認できたが、KEA3の効果は、強くなかった。そこで、より直接的にb6f複合体のでのブレーキを軽減するため、b6f複合体に直接変異を入れた植物を選抜し、この研究に用いる。
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Causes of Carryover |
次年度取り組むb6f複合体のpH感受性の変更の評価には、新規に測定機器を購入必要がある。研究を効率的に行うための消耗品に加えて、今年度分と合わせた予算が必要である。
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